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東京慈恵医科大学同窓会

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2018年02月25日 退任記念講義を終えて 皮膚科学講座 中川 秀己
演題「格物致知皮膚科診療」


 私は昭和28年3月に宮崎県宮崎市で生まれ、鹿児島ラサール中高で学び、昭和52年に東京大学医学部医学科卒業後、皮膚科に入り、平成9年から自治医科大学、そして平成16年に新村眞人先生の後任として本学に赴任し、14年間お世話になりました。退任記念講義は「格物致知皮膚科診療」という題で行わせて頂きました。「格物致知」とは「物事の道理や本質を深く追求し理解して、知識や学問を深め得ること」ですが、先輩の指導に加え、自らが後輩、医学生の指導を行うことで皮膚科臨床の「格物致知」に少しだけでも近づいたのではないかと自負しています。
 私が皮膚科を選んだきっかけは、自分の目で診て診断ができることに興味があったからですが、当時の指導医の先生方の眼光は鋭く、次々と正確な診断が付けられることに驚きましたが、まさにこれが皮膚科臨床の醍醐味でした。その後、ハーバード大学のMGHに留学し、故Fitzpatrick
教授から、臨床・研究のマインドの勉強をさせていただいたのが教室員の指導に大いに役立ったと思います。
 本学に赴任してからは素晴らしい教室員、大学・病院の先輩、同輩、後輩、スタッフの方に恵まれ、充実した十四年間を過ごさせて頂きました。私のライフワークである乾癬の診療も在任中に更に進化を遂げさせて頂きました。
 学祖の高木兼寛先生「病気を診ずして 病人を診よ」は病気で患者さんがどのような悩みを抱えているのかを掴むことの大切さを示していると思います。私の好きなもう一つの学祖の言葉に「地霊人傑」があります。土地柄、人柄が、ともにすぐれているという意味です。「地霊」から、沢山のことを学び、活用し、それを伝統の叡智として次の世代に伝えていくためには、我々自身が真摯な気持ちで臨床に取り組む地霊となり、人傑を育成し、次世代に繋いでいくことが大切ではないかと愚考しています。
 大学、病院の再整備が始まっていますが、これまで以上に本学が発展していくことを祈念いたしております。

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