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東京慈恵医科大学同窓会

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2018年02月25日 退任記念講義を終えて 心臓外科学講座、副学長 橋本 和弘
演題「Building up my career with mentorship dynamics」


 私は昭和47年に慈恵に入学いたしました。素晴らしい同級生と出会い、陸上部、ESSの仲間との学生生活を有意義に楽しく過ごし、卒後、新井達太教授によって開設された心臓外科学講座へと進みました。主任教授として退任を迎えるまでの四十六年間、慈恵本院(26年)、三医局関連病院(17年)、Mayo Clinic(3年)にお世話になりました。今回、『Building up my career with mentorship dynamics』と題して最終講義をさせて頂きました。初代教授の新井達太先生、二代目教授黒澤博身先生、そして留学先Mayo ClinicのHartzell Schaff先生という3人のメンターとの出会い、3人の教え、仕事に対する姿勢を学び、キャリア形成に邁進して参りました。臨床医として経験した症例の報告、身近に遭遇する問題の解決・解明を主体とした研究は辛いことではなく、大いに楽しめたと思っています。今となっては当然と思えることを当時は何故と疑問を感じ研究に没頭しました。
 臨床では慈恵医大の流れを受けて弁膜症の外科治療、特に弁形成術が私の最も得意な手術となりました。平成14年主任教授に就任し、医局員とのメンターシップの構築に自分ならではの方策を考える必要がありました。メンター3人に共通したカリスマ性に欠ける私はいかにリーダーシップが発揮出来るかが鍵と考え、意見を纏めて協調する、個々の利点・欠点を見抜きチーム力とする、医局員が心臓外科医として目標に到達する手段をマネージメントすることに尽力を注ぎました。修練医とのメンターシップを築くために気を付けた事は皆平等に扱う、信頼する、期待する、根気よく指導、でした。患者のことを親身に考え、少人数の医局ではありますが、纏まりのある誠実な医局が出来上がっていると実感しております。私のキャリアを通して得た自分なりのまとめを挙げさせて頂ければ、『修練医として』才能があればそれは良い、しかしトレーニングする者にはかなわない、ただし、トレーニングは情熱がないと続けられない、従って情熱を持ち続けなさい。メンター・ロールモデルを探し、目指しなさい。『外科医として』手術の怖さを知りなさい!知れば知るほど準備を怠るのが怖くなります。『プロフェッショナルとして』?情熱を捧げる領域を探す?一生懸命責任を持って働く?常に努力する?新たな機会に勇気を持って立ち向かう?逆境に負けない精神力を身につける、ということが大事であると考えています。病院・大学において副院長、理事、医学科長、副学長、研究倫理推進センター長と多くの経験をさせて頂きました。慈恵人としての誇りを持って退職を迎えることが出来ることは幸せです。大学のご高配により更に三年間ご奉公する機会を与えて頂きました。教職員の皆様方と共に慈恵医大の益々の発展に努力して参りたいと決意を新たにしております。

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