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東京慈恵医科大学同窓会

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2018年04月25日 大学講座シリーズ「内科学講座 リウマチ・膠原病内科」
講座担当教授  黒坂 大太郎


大学講座シリーズ「内科学講座 リウマチ・膠原病内科」
講座担当教授  黒坂 大太郎


 リウマチ・膠原病内科は、旧第二内科、旧第三内科のリウマチ膠原病グループを統括する形で、平成11年に山田昭夫前教授が初代教授として就任、創設されました。現在スタッフは16名で、医局員は情報や意見を全員で共有しながら、一丸となって膠原病・リウマチ性疾患の診療、研究、教育に当たっています。
診    療
 附属病院本院の外来診療は週六日間、二診体制で行っています。葛飾医療センター・第三病院・柏病院の各分院は当科常勤医不在のため、葛飾医療センターへは週一日、第三病院へは二週のうち一日、柏病院へは週二日、診療医員が出張し、外来診療にあたっています。外来の患者は関節リウマチがほぼ半数を占め、残りの半数がその他の膠原病や類縁疾患という状況です。附属病院の定床数は12床ですが、実際の入院患者数は17名前後で推移しております。当科の対象疾患は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、多発性筋炎、血管炎症候群(高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、結節性多発動脈炎、ANCA関連血管炎など)、強皮症、シェ―グレン症候群、混合性結合組織病、抗リン脂質抗体症候群、ベーチェット病、リウマチ性多発筋痛症、脊椎関節炎、IgG4関連疾患、などの膠原病・リウマチ性疾患です。そのほとんどが、全身性、慢性、原因不明という特徴を持っております。治療法のない難病とイメージされている同窓の先生方も多いかと思いますが、最近この分野の診療は画期的に進歩しました。関節リウマチの患者に対しては生物学的製剤による治療を積極的に行っており、都内病院の中でも生物学的製剤の導入件数は上位にランクしています。診断面では、関節エコー検査を他施設に先駆けて導入しました。また、放射線科と協力し、独自に関節炎検査用造影MRIのプロトコールを設定して診断精度を上げています。膠原病重症病態ではシクロホスファミドパルス療法がしばしば用いられますが、当科では安全性が高く、しかもより高い効果を目指して標準的なプロトコールの改良を試みています。また、ミコフェノール酸モフェチルによるSLEの治療、リツキシマブによる血管炎の治療、ステロイド・カルシニューリン阻害薬・シクロホスファミドの三剤併用による重症間質性肺炎を合併した皮膚筋炎の治療などの先端医療を積極的に導入しています。患者さんを紹介していただいた同窓の先生方にご満足いただけるよう日々研鑽しているつもりです。
研    究
 当科対象疾患のほとんどが原因不明ですが、その病態解明や新薬開発に貢献するため、臨床研究ならびに基礎研究に取り組んでいます。関節炎マウスを使った基礎研究、筋炎の病理組織学的研究などを中心に行っています。関節炎マウスを使った基礎研究においては、長年、血管新生の研究をしてきましたが、最近は、遺伝子改変などの最新技術を用いて免疫と神経のクロストークの分野に挑戦しています。昨年、新しい実験マウスの作成に成功し、今後このマウスを用いた実験に取り組む予定です。筋炎に関しては、放射線科の協力にて設定した造影MRI撮影プロトコールと、その画像をガイドとしたen-bloc biopsy(皮膚から筋層まで一塊とした生検)を開発しました。これにより、筋炎の診断率向上のみならず、従来知られていなかった新しい病態を解明しました。このことは国際的評価を受けています。
教    育
 当科初診患者の多くは診断が確定していない状態で来院します。また、ほとんどが全身性に症状が出現します。その症状は、実に多彩で、同一疾患患者でも症状の出現に個人差があります。診断にあたり、所見が揃わなかったり、複数の膠原病を合併している場合もあり、容易に診断をつけられないことも多々あります。さらに、感染症や悪性腫瘍など膠原病と類似の症状を呈する疾患も多いため、それらの疾患についても常に鑑別する必要があります。治療に関しては、治療薬の副作用に気を配りつつ、臓器個別のみでなく全身性に評価しながら進めていかなくてはいけません。当科の診療にはこのような特徴があるため、総合内科的視点による診療が不可欠であります。教育に関しては、当科のこの特徴をいかし「全身を診ること」と「病態を考えること」の重要性を強調しながら学生や若手医師を教育しています。まだまだ小規模でありますが、それが持ち味でもあります。女性や他学出身者も働きやすい環境にあると思います。膠原病やリウマチ性疾患に興味がある同窓の先生方のご子息、ご息女がいらしたら何時でもご相談下さい。

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