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東京慈恵医科大学同窓会

最新情報


2019年02月25日 大学講座シリーズ
「麻酔科学講座」
講座担当教授  上園 晶一


 麻酔科学講座は、小林建一初代講座担当教授、天木嘉清第2代講座担当教授が講座運営を担い、発展を遂げてまいりました。現在は、上園晶一第3代講座担当教授のもと、医局員約120名が診療、研究、教育に励んでおります。

【診療】
 附属4病院手術室での麻酔管理を担う麻酔部の他、附属病院(本院)においては、集中治療部、ペインクリニック、緩和ケア診療部を含めた4部門の診療に従事しております。
 附属4病院における大凡の年間手術症例数は、本院1万4千、葛飾医療センター5千、第3病院6千、柏病院8千例であり、そのうち全身麻酔手術やリスクの高い症例を中心に麻酔部で管理させていただいております。患者はもちろん外科医にとっても安心できる周術期管理を心掛けており、最近は、超音波ガイド下末梢神経ブロックや低侵襲モニターなど最新のテクノロジーを積極的に利用することで、質および安全性の向上を目指しております。本院においては術後疼痛管理チームを編成し、術後の痛みや手術・麻酔に起因する合併症に、24時間365日、対応しています。通常の管理では難渋する症例に対しては、ペインクリニックや緩和ケア診療部と連携し、早期の疼痛除去および機能回復を図っています。
 また、本院の集中治療室は20床を有しており、術後患者だけでなく、内科系患者の重症例も管理しています。年間1800以上の症例が入室し、各診療科と共に、エビデンスに基づいた最適な治療を実施しています。慢性疼痛治療部門のペインクリック、がん患者の身体的および精神的苦痛の緩和を行う緩和ケア診療部ともに、患者満足度や質の高い医療が提供できるよう、努めてまいります。

【研究】
 開講当初より、呼吸、筋弛緩薬、吸入麻酔薬に関する研究が積極的に進められてきました。最近は、小児麻酔や産科麻酔、心臓麻酔といった臨床麻酔各分野における体系的な研究へと幅を広げており、集中治療、慢性疼痛、緩和医療領域の研究も各診療部を中心に実施しています。基礎研究に関しては、基礎医学講座や海外の研究室等で習得した知識・技能をもとに、競争的研究資金を獲得し、科学的な生産性を高めるよう取り組んでいます。

【教育】
 卒前教育においては、純粋な麻酔科学だけではなく、心肺蘇生、呼吸循環管理等、急性期医療を幅広く学べるようなプログラムになっています。卒後臨床研修では、1年目に必修科の一つとして麻酔部研修が組み込まれており、実際の麻酔管理だけでなく、病棟での患者急変時対応など臨床医の基本となる知識・技能を習得できるよう指導しています。
 麻酔科入局者には、教育基本理念として「プロ意識を持った麻酔専門医を育成する」を掲げ、3年間の教育プログラムを組んでいます。問題指向型かつディスカッション方式による症例検討会、一般的な知識の講義等をほぼ毎日行い、さらに国内外を問わず外部からの講師を迎えた講演、実際に手を動かすワークショップ等を月に2回開催しています。周術期医療にチームの一員として積極的に参加し、患者や外科医へのサービスを向上させるという意識を持ち、十分な知識と技術を備えた麻酔科専門医を育成することを目標にしております。

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