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東京慈恵医科大学同窓会

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2019年11月25日  新病院・新外来棟におけるがん医療
腫瘍・血液内科
矢野 真吾


 1981年にがんは日本人の死因の第1位となり、2018年は推定約38万人の国民ががんで亡くなっている。政府は主ながん対策として、1984年より対がん10ヵ年総合戦略を三期に渡って実施し、2006年6月にがん対策基本法を成立させた。2007年に第一期がん対策推進基本計画が策定され、2018年3月9日に第三期がん対策推進基本計画を閣議決定した。
 附属病院腫瘍センターは、各診療科の医師、看護部、薬剤部、事務部が有機的に連携することにより、がん医療の質の向上に取り組んでいる。国の施策に則ったがん医療を提供するため、がんゲノム医療推進室と有害反応対策室を新設した。がん遺伝子検査システムは2019年6月に保険適応となり、附属病院では9月19日より都内で4番目の施設としてパネル検査を開始している。有害反応対策室は、免疫チェック阻害薬、抗体薬、分子標的薬などによる特殊な副作用に対応することを目的に設置した。
 新病院・新外来棟におけるがん医療は、質の高いがん医療を基盤とした全人的医療を提供し、がん患者のQOLの向上を目指す。そのため、がん患者の就労支援、アドバンス・ケア・プランニング、アピアランスケアを含むがん相談などに重点を置き、機能的なサポートの準備を進めている。その一環として新外来棟の一階にがんサロン「ソレイユ」が配置されることになった。がん患者に対して満足度の高い医療を提供するため、患者のニーズに合わせた最適な医療を追求し、がん医療をさらに進化させていきたいと考える。

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