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東京慈恵医科大学同窓会

最新情報


2020年04月25日 大学講座シリーズ
「小児科学講座」
講座担当教授 井田 博幸


【歴史】
 小児科学講座は大正11年2月11日に台湾総督府医学専門学校教授の戸川篤次先生を初代教授として創設された歴史ある講座です。このため2月11日を小児科学講座の創立記念日と制定し、現在でも毎年2月11日に小児科同窓会が開催されています。戸川教授以降、講座は高橋次郎教授、酒井潔教授、國分義行教授、前川喜平教授、衞藤義勝教授に引き継がれ、平成20年に私・井田が第7代教授に就任し現在に至っています。

【現況】
 令和元年12月現在医局員数は165名、同窓の数は308名を数える日本有数の小児科学教室です。当講座は附属4病院をはじめ、富士市立中央病院、厚木市立病院、国立病院機構西埼玉中央病院、町田市民病院という大学協力病院や国立成育医療研究センター、埼玉県立小児医療センター、東京都立小児総合医療センターという小児専門病院そして愛育病院など17病院、22診療科に常勤医を派遣しています。令和3年2月11日には講座創立100年を迎えるので、講座創立100年記念事業として令和2年11月15日に100年記念式典を、令和3年2月11日に100年記念誌を発刊する予定です。

【教育・研究・診療】
 小児科は子どもを診療する診療科ですので、その教育・研究・診療は広範囲にわたります。現在、感染免疫・神経・循環器・アレルギー・内分泌・新生児・腎臓・血液・代謝/消化器/遺伝という九つの研究班が存在し、このサブスペシャリティを基軸にして教育・研究・診療が行われています。しかしながら、「小児科医は子どもの総合医。We are pediatrician」の基本方針のもと大学4病院と関連病院を有機的に総合して小児科医としての総合診療のみならず研究能力を養い、その上にサブスペシャリティを構築する教育を実践しています。
 小児科学講座の研究の理念はpatient-oriented researchすなわち臨床現場で生じたリサーチクエスチョンを生理学的、生化学的、病理学的、統計学的、分子生物学的手法を用いて明らかにし、その成果を患者さんに還元することです。広範囲な研究領域をカバーするため基礎研究については総合医科学研究センター遺伝子治療研究部、再生医学研究部、細胞生理学講座、ウイルス学講座などの学内組織や国立成育医療研究センター研究所、早稲田大学、米国NIH、スタンフォード大学などの学外施設との共同により推進しています。また、臨床研究については関連病院を活用した多施設共同研究や小児専門病院での臨床データを活用した研究を行っています。
 従来は小児外科系・小児科・周産期がそれぞれ独立して外来/入院診療を行っていましたが、小児周産期医療を集約化し、集学的診療を行うという理念のもと、平成13年にE棟に総合母子医療センターがオープンしました。さらに、この理念を発展させるため令和2年1月4日にN棟に母子医療センターがオープンしました。母子医療センターでは今まで培ってきた小児の包括的医療に加えて専門分化した小児の高度医療が展開されています。

【おわりに】
 小児科学講座は長い歴史のある講座です。母子医療センターのオープンにより当講座は新しいステージに入りました。伝統を重んじるとともに、新しいことにチャレンジする事が必要です。また、小児科学講座は大講座です。“和をもって尊しとなす”を理念として講座を運用する事が重要です。この観点から小児科学講座の医局員とその家族が一堂に会する新年会を毎年開催して懇親を深めています。今後も小児科学講座が日本の小児医療をリードする講座であり続けるために同窓の先生方の引き続きのご支援をお願い申し上げます。

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