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東京慈恵医科大学同窓会

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2013年07月25日 第34回慈恵医大夏季セミナー
加齢・変性疾患に対する人工股関節置換術の変遷と現状
整形外科 大谷 卓也


 股関節に加齢や疾患による摩耗、変形が進行すると、「痛い→歩けない→寝たきり」という一連の運動器機能障害パターンに陥る。破壊された骨盤に人工臼蓋を、大腿骨に人工骨頭を設置して関節を蘇らせる人工股関節の確立は長年の夢であり、1960年代頃より研究が行われてきた。しかし、体内の過酷な荷重環境下で人工材料どうしを擦り合わせながら10年以上の耐用性を得ることは容易ではなく、感染、緩み、摩耗、脱臼といった多くの合併症に悩まされてきた。しかし、近年、人工材料の発展と手術技術、管理システムの改善などにより、臨床成績は飛躍的に向上している。合併症率は格段に減少し、入院期間も2週間程度にまで短縮され、耐用年数に関しても20〜30年以上が期待されている。
 今後、摺動面の摩耗耐性や金属結合部の強度などの改善により長期成績がさらに向上し、より多くの、そしてより若年の患者の股関節を蘇らせることが可能となると期待されている。

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