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東京慈恵医科大学同窓会

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2013年07月25日 第34回慈恵医大夏季セミナー
高齢者心臓手術における狭心症と大動脈弁狭窄症
心臓外科 儀武 路雄


 当科での成人開心術は、平均65・9歳、70歳以上が43・0%に達している。
 動脈硬化増加と共に虚血性心疾患へ注意が払われていたが、大動脈弁の退行変性も顕著となり、大動脈弁狭窄症が増加している。
 虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス術は、人工心肺使用下に心停止下で行われてきたが、安全性を高める為人工心肺を使用しないoff pump CABG(OPCAB)が考案され、心機能低下症例には拍動下CABGが行われるようになった。デバイスの発達と共に浸透し、本邦では単純CABGの60%に達している。成績も改善し、予定単純冠動脈バイパス術の死亡率は1〜2%となっている。
 大動脈弁狭窄症手術の比率は、17・4%となっており、全例生存している。同疾患は、自覚症状に乏しいが、進行性であり、有症状となった時の予後は不良である。聴診がスクリーニングとして有効であり、適切な時期に治療を行なう事が重要である。

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