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東京慈恵医科大学同窓会

最新情報


2013年08月25日 生涯学習センターだより 平成25年7月13日開催月例セミナー
「新しい骨粗鬆症の病型分類に基づく治療薬の使い分け―生活習慣病は要注意」
整形外科 斎藤 充


 「骨粗鬆症は、老化現象であり病気ではない」と言うのは大きな間違いである。骨粗鬆症性の脊椎骨折や大腿骨近位部骨折は、生命予後を悪化させる。寝たきりにならない脊椎骨折であっても死亡のリスクが8倍も高くなる。
 骨粗鬆症治療により死亡のリスクが軽減することも明らかにされている。骨粗鬆症といえば骨密度が低下すると思われがちである。しかし、糖尿病や動脈硬化性疾患、腎機能低下、閉塞性肺疾患などの生活習慣病罹患例では、例え骨密度が正常でも骨折リスクが高まることが分かってきた。従来、生活習慣病における動脈硬化の主たる病因とされている活性酸素、酸化ストレス、糖化といった因子が骨の主要な構成成分であるコラーゲンの老化を過剰に誘導し、骨折リスクを高めることが明らかとなり、我が国のガイドラインが大幅に改訂された(骨質劣化型骨粗鬆症)。
 ビスフォスフォネートは骨密度が低下するタイプに、その他の薬剤は骨質劣化型骨粗鬆症に有効であることが分かってきた。今後は、個々の症例のリスクをきめ細やかに評価し、治療薬を使い分けるテーラメイド治療の時代に突入した。こうした慈恵整形発の世界初の概念はガイドラインに盛り込まれている。
【次回月例セミナー予告】
日 時 平成25年9月14日(土) 午後4時
場 所 慈恵大学病院中央棟8階会議室
テーマ 「インフルエンザ・ノロウイルス対策」
講 師 中澤 靖講師(感染制御部)

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