トップページ

東京慈恵医科大学同窓会

最新情報


2013年09月25日 浦島 崇君(平8・小児科) 日本小児循環器学会会長賞受賞


 平成25年7月、東京オリンピック青少年会館で開催された第49回日本小児循環器学会学術集会(東京女子医大循環器小児科教授中西敏雄会頭)において、小児科学講座講師の浦島崇君(平8)が学会会長賞を受賞した。
 会長賞は全演題の中から最も優秀な演題に対して授与されるものであり、今回、浦島君は米国Stanford大学留学中から開始した右心不全モデルラットを用いた選択的β1遮断薬の抗右心不全効果に関する研究に対しての受賞である。右心不全は先天性心疾患を持つ小児患者の長期予後に重要であるが、動物モデルの作成が困難であったため基礎的な研究が進まなかった分野である。
 浦島君は外科的な手技を用いて右心不全ラットを作成し、基礎的なアプローチで右心不全の病態解析を行い高い評価を得たものと考えられる。右心室は左心室に比較して心筋量が少なく圧負荷、容量負荷に対する許容性が低いことが特徴である。そのため心筋のリモデリングが容易に出現し相対的な心筋虚血に至りやすい。心筋虚血はミトコンドリア機能不全、線維化、そして最終的には心不全を引き起こす。浦島君は選択的阻害薬がリモデリングの抑制を介して抗右心不全効果を示すことをミトコンドリアの機能解析、電子顕微鏡による形態解析から証明した。この研究成果は右心不全を有する多くの先天性心疾患患児の治療につながると考えられる。
 本研究は小児科医局員のみならず慈恵学内の内科学講座循環器内科、病理学講座、細胞生理学講座、解剖学講座、共同研究室の先生方の協力がなくては実現しなかった研究であり、この場をお借りして協力していただいた先生方に感謝を申し上げます。日本小児循環器学会会長賞は小児科学講座から初の受賞であり、今後の研究の発展に期待する。(小児科学講座担当教授 井田博幸)

top