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東京慈恵医科大学同窓会

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2014年02月25日 渋谷まさと君(昭59)
グッド・ティーチング賞を受賞


 平成25年9月、京都産業大学むすびわざ館で開催された第3回高等教育開発フォーラム(日本高等教育開発協会年次大会)において、渋谷まさと君(昭59・女子栄養大学短期大学部生理学研究室教授、自然科学研究機構生理学研究所客員教授)がグッド・ティーチング賞を受賞した。
 渋谷君がコーディネータとして展開している「一歩一歩学ぶ生命科学(人体)」は、紙芝居のように、端的なイラストをステップ・バイ・ステップに提示して、生命科学の初学者にイメージが伝わるようにしている電子教材である。例えば、腎尿細管での再吸収などの動きは、動画と音声とで提示される。特筆すべきは、ステップごとのクイズによってイメージを学習者の記憶に定着させることに加えて、そのイメージを学習者がほかの学習者に説明する「先生ごっこ」を展開できることである。これらは最近推奨されているアクティブ・ラーニングを可能にするコンテンツとして高く評価され、高等教育全分野を対象とする本賞の受賞となった。高校時代を米国で過ごした渋谷君は、慈恵の学生時代から米国的なシステマチックな勉強法を自然に身に着けていた印象がある。本プロジェクトの誕生はそんな渋谷君だからこそ成し遂げたのであろう。
 本コンテンツにより、単に知識が増えるだけではなく、生命科学を勉強することへの自信や、発展的学習に対する意欲が向上する等の効果も確認されている。現在のコンテンツは、生理学にとどまらず、病態生理学などにも及んでおり、また、Wiki機能の提供も準備されていると聞いている。これが実現化すれば、加筆、修正が可能であるだけではなく、現在の豊富なコンテンツの中から、任意のステップを任意の順番でムードル(moodle)インターネット上で授業用のwebページを作るためのソフトのコースに出力できるようになる。本コンテンツは、初学者が楽しく学ぶことを目的にスタートしたものであるが、今後の発展によっては、医学教育の全分野を一本の道筋で繋げる可能性をも秘めていると思われる。医学教育だけではなく、医療系の全学生、教育担当者にとって本コンテンツが必携のシステムとなる日を期待している。
 (福島県立医大 腎臓高血圧内科(教授)/中山昌明)

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