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東京慈恵医科大学同窓会

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2014年05月25日 教授就任挨拶
人間科学教室・人文科学研究室 三崎 和志


 平成26年4月1日より医学部医学科人文科学教室で哲学を担当させていただくことになりました。研究領域はおもに20世紀のドイツ哲学で、フランクフルト学派と総称される理論家たちの社会哲学、倫理思想、文化・芸術理論が専門です。目下の研究の中心は、ナチスによる迫害を逃れて亡命ののち帰国し、戦後西ドイツで大きな影響力をもった哲学者テオドール・アドルノの思想です。
 彼の思索の軸にあるのは、「アウシュヴィッツ以後」の哲学、倫理はいかにあるべきかという問題意識です。現代が引き起こした惨劇をたんなる例外事象として片づけることなく、理性とそれが生み出した文明の本質と関係付け、二度と惨劇を繰り返さないための倫理を彼は模索しました。
 本学では国領校で教養教育を担当いたします。「病気を診ずして病人を診よ」という本学の建学の精神を実践するには、人間の人間らしさへの幅広い洞察が不可欠です。そのために人文科学が果たすべき役割は決して小さくないと思います。
 本学で学ぶ学生が、人間に対する厚みのある理解を備えた人間味ある医療従事者と育つ助けとなりますよう、力を尽くす所存です。ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。
略 歴
 三崎和志(みさき・かずし)昭和63年一橋大学法学部卒業。平成11年同大学院社会学研究科後期博士課程単位取得退学。都留文科大学、法政大学、東京農工大学、東京薬科大学他非常勤講師。平成20年〜26年岐阜大学地域科学部准教授。

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