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東京慈恵医科大学同窓会

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2014年05月25日 増田洋一郎君(平9)
日本臨床視覚電気生理学会会長賞を受賞


 平成25年10月、大阪千里ライフセンターで開催された第61回日本臨床視覚電気生理学会学術集会(大阪大学眼科教授 不二門尚会長)において、眼科学講座の増田洋一郎君が学会会長賞を受賞した。会長賞は、全一般演題の中から最も優秀な演題に対して1、2演題が受賞されるもので、今回、増田君は、黄斑変性患者の脳機能という研究に対しての受賞となった。
 外界からの視覚情報は、まず網膜で処理され視神経を通して後頭葉の第一次視覚野(V1)に運ばれる。網膜の部位情報はV1の反応部位と大まかに対応している。増田君は、網膜中心の黄斑部変性をもつ成人(後天)発症錐体ジストロフィの患者さんに対して、網膜上の異なった位置で視覚刺激を与え、機能的磁気共鳴画像診断装置を用い後頭葉の活動部位を評価した。その結果、網膜病変V1投射領域の反応は、網膜部位再現が不明確で大きな受容野を有していたことから、高次視覚野からのフィードバック信号が関与していることを明らかにした。学会長の大阪大学不二門教授は、人工視覚とくに人工網膜(retinal prosthesis)の臨床応用では国内第一人者であり、人工網膜の研究の発展に繋がる研究成果と評価を受けたのが受賞理由である。錐体ジストロフィなどの遺伝的網膜変性疾患に対しては、医学的に有効な治療法がないのが現状である。
 本研究は、人工網膜の研究だけでなく、再生医療の治療評価をする際、必要不可欠な評価法になることは間違いないと考えられる。本研究は、増田君の米国Stanford大学留学中の研究室との共同研究である。今後のさらなる研究の発展に期待する。
(眼科学講座担当教授 常岡 寛)

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