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東京慈恵医科大学同窓会

最新情報


2014年10月25日 第68回定期支部長会議における
大学の事業報告
学校法人慈恵大学・理事長 栗原 敏
東京慈恵会医科大学・学長 松藤千弥


【平成26年10月4日・第68回定期支部長会議が開催され、その中で栗原敏理事長、松藤千弥学長よりご挨拶をいただきましたので以下に全文を掲載いたします。】
 理事長は学校法人全般について、学長は教育・研究を中心にご報告する。
[理事長報告]
1. 大学のガバナンス改革への対応
 学校教育法の改正により、学長を中心とした大学のガバナンス強化が求
められており、学内規程の整備や副学長の新設によって対応を進めている。また法令遵守の徹底のため、学校法人の監査機能の充実を図る。

2. 4附属病院の活性化
 各附属病院で病診連携、病病連携の改善に努め、患者数増を図っている。本院は外来患者数減少の要因を分析し、第三病院との連携強化を推進していく。第三病院は今後、総合診療、緩和ケア、精神科疾患に重点を置くことも考えられるが、救急患者対応を一層改善することが必要であることを確認した。葛飾医療センターは地域密着型の病院としての役割を果たすとともに、リニアックの導入を視野に入れて、地域のがん治療に貢献していく。柏病院はD棟の建築によって拡充され、病院機能の改善充実が図られている。また、救命救急センターとして幅広い患者を受け入れ、地域中核病院として地域医療に一層貢献している。

3. 医療安全の推進とコミュニケーションの改善に引き続き取り組む
 医療安全を四附属病院で徹底させるために、チームステップスを定期的に開催している。また、医療安全に関する講演会などを開催し、医療安全に対する意識の高揚に努めている。本年も11月4日から二週間、医療安全推進週間を実施する。

4. 財務状況
 平成25年度の帰属収入は979.2億円、消費支出は896.4億円で、帰属収支差額は82.8億円となり過去最高益を出した。この要因は除却損の減少、退職給与引当金繰入額の減少に伴う人件費の減少である。医療収入の増加率は前年比1.1%であり、伸び悩んでおり改善が重要課題である。今後、コスト意識を一層高め、無駄な経費を削減することが求められている。その目的で今年から立ち上げたコストマネジメント・プロジェクトの活動に期待している。今後、10年間に約1,000億円以上の事業を安定的に遂行するには、毎年、医療収入が前年比で確実に1.6%伸びていくことが必要で、病院運営の継続的な活性化が必要である。

5. 事業の報告
(1) 葛飾医療センター別館建築の件
 葛飾医療センターでは別館の建築中で、別館ではリニアックによるがん治療が行われる。また、学生教育の場としても使われる。
(2) 第三病院新医局棟建築の件 
 第三病院医局棟建築に先立ち、地鎮祭が3月4日に執り行われた。
(3) 柏病院D棟建築と改築の件
 柏病院の四十床増床により、新棟が必要となり、建築中であったD棟が完成し、竣工式が7月31日に行われた。
(4) 西新橋再整備計画の進捗
 東京都と9月30日付で協定を締結。今後、測量、土壌汚染・ボーリング調査などを経て、基本設計に基づいて実施設計と施工を依頼する建築会社を選定した後、具体的な建築に取り掛かる予定である。現在、再整備統括会議、西新橋建築準備委員会の下で、各種ワーキンググループがそれぞれの課題に対して具体的な計画立案を行っている。都有地跡地の新病院と大学敷地内に建てる新外来棟との役割分担と連携を視野に入れて、有機的な病院として機能させることができるように検討している。
6. その他
 広島県等における土砂災害に対する募金を教職員に対象に行い、日赤に寄附した。

[学長報告]
1. 研究不正・研究費不正対策
 科研費や臨床研究に関わる不正の問題を受けて、緊急学長説明会を各キャンパスで開催し、コンプライアンス意識を高め再発防止に努めるよう伝えた。また科研費申請を行う研究者にはFD出席を義務付けた。今後、外部委員を含む検証組織を立ち上げると共に、副学長を中心とした研究コンプライアンス推進センター、及び不正防止のための研究適正管理特別委員会の設置準備を進めている。

2. 臨床研究支援センターの設置
 4月1日付で臨床研究支援センターを設置した。プロトコール作成支援、統計解析、モニタリング、教育などの部門から成り、倫理委員会、利益相反管理委員会などと連携して研究者の支援を行う。

3. 総合医科学研究センターの再編
 総合医科学研究センターを9研究部門、2研究所、5支援部門に再編し、先端研究の推進と学内研究者への支援の充実をはかった。また、先端医学推進拠点群を新設し、大型研究費を得て学内横断的に進めるグループ研究をセンター化する。

4. 総合診療能力育成のための教育
 平成25年度選定未来医療研究人材養成拠点形成事業、通称「総合診療GP」では、卒前から生涯教育に亘って高度な総合診療能力と臨床研究能力を持つ医師の養成を推進する。卒前教育における高齢者医療体験実習の導入、大学院における地域医療の現場における研究能力の開発、レジデントにおける総合診療専門医コースの新設、復職医師の総合診療能力開発などが進められている。

5. 診療参加型臨床実習の充実
 平成24年度選定大学改革推進事業、通称「臨床実習GP」では、来年度より新カリキュラムがスタートし、4年生9月から1年間の従来型臨床実習に加え、5年生9月から一年間の診療参加型臨床実習が行われる。またこれに併せて、到達目標の制定、ログブックの整備などが進められている。

6. 医学教育国際認証受審
 平成26年6月に、全国医学部で3番目、私立医科大学では初めてとなる医学教育分野別認証の外部評価を受審した。期間中、10名の外部評価委員が来学し、あらかじめ作成した自己点検報告書に基づく報告と討論、学生・研修医・教員との面接、施設見学が実施された。最終日の講評では、本学の医学教育が概ね高く評価され、追って正式な報告書が送付される予定である。

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