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東京慈恵医科大学同窓会

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2014年10月25日 浦島 崇君(平8)
第48回欧州小児循環器学会
Young Investigator Awardを受賞


 平成26年5月にヘルシンキで行われた第48回欧州小児循環器学会(Association of European Pediatric Cardiology 2014)において、小児科学講座講師の浦島崇君(平8)がYoung Investigator Awardを受賞した。同賞は欧州のみならず世界各国から提出された全演題の中から選ばれた八演題から当日のプレゼンテーションで評価された二演題に対して授与される国際的に価値のある賞である。今回、浦島君は右心不全モデルラットを用いてアンギオテンシン受容体拮抗薬であるtelmisaratanがPPARγを介して抗右心不全効果を呈することを報告した。
 近年、右心不全は先天性心疾患、肺高血圧症の合併症として注目を浴びている分野であるが、左心不全との相違点、右心不全に特異的な治療方法の確立など克服すべき点が多い。しかし左心不全モデルと異なりtrasngenicモデルなどで右心不全を再現することが困難であったため基礎的な研究が進まなかった分野である。浦島君は外科的な手技を用いて右心不全ラットを作成し、基礎的なアプローチで右心不全の病態解析、各種治療方法の効果検討を行った。右心室は左心室に比較して圧負荷に比較して著明な心肥大を呈し容易に心不全に至るため、この進行を制御することが今後の課題と言える。昨年、浦島君は選択的β1阻害薬の右心不全に対する治療効果に関する検討で日本小児循環器学会学会長賞を受賞し、引き続きの受賞である。右心不全に関する研究は先天性心疾患患者と肺高血圧症患者の長期予後の改善から臨床上、注目されている分野であり、今後の研究の発展に期待している。
 本研究は小児科医局員のみならず慈恵学内の内科学講座循環器内科、病理学講座、細胞生理学講座、基盤研究施設、実験動物施設の先生方の協力がなくては実現しなかった研究であり、この場をお借りして協力していただいた先生方に感謝を申し上げます。
(小児科学講座担当教授井田博幸)

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