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東京慈恵医科大学同窓会

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2014年11月25日 第131回成医会総会シンポジウム
四附属病院の未来像 ―新外来棟建設に向けて―


 西新橋キャンパス再整備計画の基本戦略となる超急性期医療・災害医療機能の強化、慈恵の特長を活かした医療連携、緩やかなセンター化構想を基本戦略として新外来棟、新大学2号館、小児・周産期医療施設の建設計画が進んでいるという浅野晃司担当理事の説明をもとに、丸毛啓史病院長からは附属病院(本院)と三附属病院の機能分化・分担と一体的運営に関する一部私的見解を含めての発表があった。葛飾医療センターがリニューアルオープンし、地域医療に密着した医療を提供する場として役割を果たしているという伊藤洋院長の現状報告を受け、丸毛病院長は西新橋再整備に続いて新病院建設が計画されている本院と同じく都下に立地し、より密接な関係が求められる第三病院と本院との機能分化については、今こそ先を見据えたビジョンを考えるべき時期にある、本院は高度急性期医療の一翼を担って、さらに多くの優秀な人材の確保、設備投資を進める必要が生じる中、第三病院は国領キャンパスが隣接するというスケールメリットを有効活用し、活性化するために双方がどのような考えを持って進むべきかとの自論を展開された。本院機能の一部を第三病院に移転することも必要であるという丸毛院長の意見に後押しされた形での第三病院中村敬院長の将来構想は、本院と同等の機能を目指すミニ本院ではなく、また本院からの受け入れも含めての回復期・慢性期医療を主に担うものでもなく、今後の超高齢化社会を迎える地域に求められる特殊領域に絞り込んだ急性期医療の展開と特徴ある非急性期医療機能の構築(地域包括ケア、緩和ケア病棟の設置、精神科病棟再編、リハビリ施設の充実等)を進める方向性、加えて近々の課題として総合内科体制の構築と二次救急医療の強化を目指して行きたいという提案であった。さらには人材確保、育成として整形外科における股関節センターの第三病院設置に見られるように、各診療部内での機能分担の積極的要請、将来的には今後必要とされる総合診療科医師育成の拠点となるべく、総合診療科講座を第三病院に設置してほしいという提案がなされた。
 千葉県東葛北部での拠点病院を目指す柏病院においては地域から求められている救命救急センター、周産期医療への充実策として医局フロアーの改築による四十床の増床計画が進んでいることが東條克能院長より説明がなされた。産婦人科の手術数、分娩数の推移、診療圏におけるこの分野の優位性が高いという調査から発展の余地が高いという判断である。しかしながら、待機患者数の状況を見ると現在の手術室数ではもはや対応が難しく、手術室の増設が今後の課題であることも併せて示された。
 今回のシンポジウムは新外来棟を中心とする再整備計画が動き出したこの時期に、本院の今後あるべき姿、三附属病院との新しい形での連携強化を考える意味で大変に有意義な機会となった。
(心臓外科学講座 橋本和弘記)

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