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東京慈恵医科大学同窓会

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2014年11月25日 臨床医の基礎研究、克服すべき課題、基礎研究科との協力体制構築
眼科学講座 林 孝彰


 振り返ると本学卒業後23年が経過しようとしている。私は、学位取得後、3年間の米国留学を終え、平成13年(卒後11年目)に青戸病院(現葛飾医療センター)に赴任した。大学院での4年間の基礎研究期間を含めれば、約7年間基礎研究に従事してきた。臨床に戻ってからは、時間的制約、研究費不足、マンパワー不足と研究を諦めかけていた時期もあった。臨床と並行してできる基礎研究は何かと熟慮した結果、“遺伝性網膜疾患のゲノム研究”にたどりつき、このテーマをライフワークとして、公的研究費獲得や大学院生にも恵まれた。
 臨床医が基礎研究に関与できる可能性を考えた場合、ある程度の基礎力や実験力は必要だが、実際は臨床力が最も重要である。診断するだけではなく、患者さんやその家族との信頼関係構築や患者さんのために研究を行うというマインドが必要である。私は、臨床遺伝専門医・指導医を取得し、倫理面や遺伝学的なサポートも行い、総合的ゲノム診療を実践し、これが、慈恵が目指す臨床・基礎研究の一つの方向性だと信じている。提供されたヒト試料(DNA、RNA、血清)をもとに多くの基礎・臨床研究者と共同研究を行っている。現在は、次世代シークエンサを用いた多角的ゲノム研究を行っており、疾患メカニズム解明をミッションとしている。研究目標を達成する(必要のある研究を行う)ために多くの研究者と共同研究しようと提言したい。

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