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東京慈恵医科大学同窓会

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2014年11月25日 南沢 享教授(特)
日本小児循環器学会高尾賞を受賞



 平成26年7月3日から岡山大学心臓外科学講座、佐野俊二教授の会頭の下に開催された第50回日本小児循環器学会学術集会において細胞生理学講座担当南沢享教授(特別会員)が高尾賞を受賞した。高尾賞は日本の小児循環器学の父と言われる故高尾篤良東京女子医大名誉教授を追悼記念するとともに、小児循環器学の発展に貢献し、今後のさらなる活躍が期待される研究者に授与される日本小児循環器学会で最も権威のある賞である。
 南沢教授は横浜市立大学、東京女子医大で臨床小児循環器学の研鑽を積み、その後、基礎心血管研究を開始し、この10年間は新生児期から幼児期に肺うっ血、心不全を呈する動脈管開存症の発症メカニズムに関する研究を継続して行っている。本学へは平成24年に栗原敏理事長の後を引き継ぎ細胞生理学講座の教授として着任されている。
 南沢教授が研究している未熟児動脈管開存症は新生児医療が発展した現在においても生命予後を左右する重篤な合併症であり、早産超低出生体重児では約30%が症候化する疾患である。南沢教授はプロスタグランジンEの受容体であるEP4が、早産児において母体由来のプロスタグランジンEに十分な期間刺激されないことが未熟児動脈管開存症の発症原因であることを発見し、Jour-nal of Clinical Investigation, Ci-
rculation Resear-
chなどの一流誌へ報告を行った。さらにこの研究を進展させEP4刺激がエラスチン産生を介して動脈硬化、動脈瘤に対する抑制効果を呈するかどうかモデルラットを用いての研究は平成26年、Circulationに報告された。この研究は将来、臨床応用と創薬につながる研究であり、この分野において国内外を牽引している。これらの研究は小児循環器学の臨床経験を積んだ南沢教授ならではの発想によるものであり今後もさらなる発展が期待される。
(小児科学講座医局長 浦島 崇記)

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