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東京慈恵医科大学同窓会

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2014年12月25日 川浪大治君(準平10)
日本糖尿病合併症学会Young Investigator Awardを受賞



左が筆者、右が川浪君

 平成26年10月3日、4日の2日間にわたって第29回日本糖尿病合併症学会(会長 門脇孝 東京大学教授)が都市センターホテルで開催された。その席で、本学糖尿病・代謝・内分泌内科講師の川浪大治君(準平10)が平成26年度日本糖尿病合併症学会Young Investigator Awardを受賞した。本賞は日本糖尿病合併症学会の学会賞として、国内外で糖尿病合併症に関する特に優秀な研究業績をあげた若手研究者を顕彰するもので、厳正な選考の結果、今年度は川浪君に贈呈されることとなった。
 受賞の対象となった研究は「糖尿病合併症発症機転におけるRho/Rho-kinaseの機能解明」である。教室ではこれまでに高血糖やインスリン抵抗性によって腎臓や血管の低分子量GタンパクRhoおよびそのエフェクターであるRho-kinaseの活性化が起き、糖尿病性腎症をはじめとする合併症の発症・進展に関与することを報告してきた。川浪君はこの知見を発展させ、Rho-kinaseが糖尿病モデルにおいて腎組織での低酸素環境下の転写因子制御を行い、糸球体硬化を促進していることを明らかにするとともに、Rho-kinase阻害薬を用いることによって腎症のみならず動脈硬化が抑制されることを実験的に証明した。これらの結果に基づいて、川浪君はRho-kinaseが包括的な糖尿病合併症治療薬の開発にあたって、新たな治療標的になる可能性を示唆し、その成果を国際的一流誌に発表してきた。これら一連の独創的な研究が選考委員会での高い評価を受け、今回の受賞につながったのである。
 川浪君の受賞によって、教室の基礎研究の質の高さを内外に示すことができたものと考えている。また、川浪君は万有生命科学振興国際交流財団から今年度の万有医学奨励賞の受賞者に選出されており、嬉しい同時受賞となったことを申し添える。川浪君の快挙を称えるとともに、今後の益々の発展を期待したい。
(宇都宮一典記)

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