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東京慈恵医科大学同窓会

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2015年01月25日 第87回慈大呼吸器疾患研究会開催

 平成26年9月一日、第87回慈大呼吸器疾患研究会が本学西新橋校大学1号館6階講堂において内科学講座呼吸器内科担当桑野和善教授が当番世話人となり開催された。前半の症例検討会は、臨床、画像、病理と多角的に討論し、分子レベルから個体へ統合的に理解するという、本研究会の目的とする企画である。呼吸器外科尾高真講師の司会の下、呼吸器内科研修医1年目の竹澤章裕君より、緊張しながらも力のこもった症例提示があった。症例は「経時的に進行する間質性肺炎に腎障害を合併した一例」であった。画像アドバイザーの放射線科三角茂樹助教より、胸部X線と胸部CTについて的確でわかりやすい画像の解説があり、病理学講座鈴木正章教授より、腎生検と肺生検の結果について詳細な解説があった。
 もう一つの研究会の核である特別講演は、昭和大学生理学・生体調節機能学部門名誉教授、東京有明医療大学本間生夫副学長をお招きしたが、実は、慈恵医大を昭和48年にご卒業、第二生理学のご出身の大先輩である。演題タイトル「情動と呼吸」をご講演いただいたが、まず、呼吸には、脳幹の呼吸中枢がつかさどる「代謝性呼吸」(生きるための呼吸)、大脳皮質がつかさどる「随意呼吸」(自分の意思でコントロールする呼吸)、そして大脳扁桃体がつかさどる情動によって変化する「情動呼吸」(喜怒哀楽によって変化する呼吸)の3つの呼吸があることを生理学的に解説された。そして東日本大震災後の被災者の心のケアを実例に、呼吸筋ストレス体操を被災者の皆さんと共に実践することによって、呼吸による「こころのケア」が可能であることを示された。さらに、能の世界において「情動と呼吸」をテーマとした映画を製作されており、感動的かつ広い視野に立った素晴らしいご講演であった。通常をはるかに上回る多くの参加者にめぐまれ、栗原敏理事長にもお言葉をいただいた大変有意義な会であった。
(呼吸器内科 桑野和善記)

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