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東京慈恵医科大学同窓会

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2015年02月25日 定年退任にあたって
産婦人科学講座 佐々木 寛


 昭和50年3月に慈恵医大を卒業し、40年間本学に勤務ができましたことは、多くの皆様のご支援あってのことと心より御礼を申し上げます。祖父、叔父二人、従弟二人が本学出身の医師で根っからの慈恵医大信奉の一族で育った私は本学に入学できたことが慶びでした。実家は浅草で産婦人科を開業しており早くに父の後を継ぐものだと漠然と思っておりましたので、産婦人科に入局いたしました。
 医学部六年の時に故天神美夫先生の細胞診断の臨時講義がとても興味深く、大学院で婦人科がんの研究をしたくなり大学研究科に入学いたしました。東京大学医学部放射線生物学教室岡田重文先生の下で一年間師事した後、米国ペンシルバニアで大学放射線治療部のYuhas教授の門下で放射線生物学を引き続き学びました。1980年代は、シスプラチンが臨床応用され始めたばかりで、放射線生物学が最先端の学問の一つでした。その成果の一つは重粒子線治療であり現在臨床応用がされ、がん治療の成果を上げております。
 細胞診については卒業後すぐに勉強を始め、卒後2年目に細胞診指導医試験に合格し細胞診専門医として歩み始めました。その後平成23年には日本臨床細胞学会の理事長となり、2期4年間を務め、我が国の細胞診に関する政策に携わり、さらに日本専門医機構の委員として働くことができたことは慈恵医大教授という職位があったお蔭であります。
 平成17年より勤務した本学附属柏病院の産婦人科は平成17年度九人の医局員が平成24年度には15人まで増え、婦人科がん手術例数で全国2位になりました。「人は力なり」との言葉もあるように医局員が増えれば地域医療に役立てると身をもって体験した次第です。
 そんな楽しい慈恵医大での40年間でしたが、父の遺言に従って正業に戻り、産婦人科の地域医療に頑張りたいと思っております。

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