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東京慈恵医科大学同窓会

最新情報


2015年02月25日 第61回日本病跡学会
精神医学講座 中山和彦教授のもと開催


 平成26年7月12日・13日、東京慈恵会医科大学1号館3階、5階講堂にて第61回日本病跡学会が精神医学講座担当中山和彦教授を大会会長として開催された。病跡学とは、小説家、作曲家、画家など、芸術作品を創作する人たちの精神世界に焦点を当てた学問で、精神医学の中では古くからあり、われわれ人間と芸術との関わり、その時代変遷を考えていく上でとても重要な学問であり、生きる羅針盤を失い、混沌とする現代において注目すべきものである。
 学会テーマは「真・善・美を解きほぐす15億年たったら帰ってくる」、と中山会長のアイディアで日本のダダイストの第一人者である高橋新吉の言葉から引用したものである。参加者は、医師以外に芸術畑、すなわち文学、音楽、絵画の研究者など多方面の専門家が集まった。
 特別講演は二つ企画され、「江戸時代の禅僧・白隠慧鶴の教え―森田療法との関連から」というテーマで山下裕二明治学院大学教授(美術史家)に、「モーツァルトの軌跡」というテーマで三枝成彰氏(作曲家・日本モーツァルト協会理事長)にご登壇いただいた。
 会長講演は「座敷牢から生還した新吉・その眼光―中原中也の哀しみの詩が共鳴する」というテーマで中山和彦大会会長が講演された。またシンポジウムは「ナイチンゲールの遺産―貴婦人の葛藤」と題して、本学芳賀佐和子客員教授にナイチンゲールの病跡について企画いただいた。
 学会展示も行い、高橋新吉、中原中也、ナイチンゲールに関する書物などが公開された。貴重な資料をたくさん中原中也記念館(山口県)からお借りした。またナイチンゲールに関する資料は芳賀教授にご協力いただいた。
 最終的な一般演題、シンポジウムを含めた演題数は32演題であり、学会参加者は200名と学会の規模は大きくないが、内容の濃い充実した学会となった。このように学会を成功裡に終われたことに、ご協力いただいた先生方、施設、企業、また医局員をはじめとした関係者の方々に感謝申し上げたい。
(平6・中村晃士記)

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