トップページ

東京慈恵医科大学同窓会

最新情報


2015年07月25日 慈恵医大脳卒中センター開設
脳卒中センター長・脳神経外科教授 村山 雄一
神経内科教授 井口 保之
リハビリテーション科教授 安保 雅博


▲最新のハイブリッド手術室(写真1)

▲SCU(写真2)

▲脳卒中センターのスタッフ(写真3)

 脳卒中は、脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血の総称であり、高齢化社会に伴い寝たきり、要介護の原因となる疾患の第1位である。高齢化社会に伴い今後も増加傾向となることが予想され、国民医療費増加の要因でもある。脳卒中は発症から速やかに治療できれば後遺症を防ぐことが可能で、特に最新の臨床研究ではカテーテル手術による脳卒中治療を速やかに行えば良好な予後が期待できることが証明された。
 しかしながら首都東京では24時間365日このカテーテル手術による緊急治療が可能な病院は限られており、病院間の連携不足、スタッフ不足による疲弊など改善すべき問題が多い。
 そこで当院では、慈恵の強みである連携を強化し、脳卒中における専門的な知識を持つ医師、看護師、理学療法士などによる科の壁や職種の壁を無くした横断的な組織を構築し「脳卒中超急性期治療」を目標と掲げる包括的な脳卒中センターを設立した。
 この組織を積極的に運用することにより都内の脳卒中超急性期治療における中心的な役割を果たし社会的貢献に寄与することが期待される。

【慈恵医大脳卒中^nセンターの特徴】
1.24時間365日対応可能な脳卒中治療
 脳卒中治療は時間勝負であり脳卒中の最新知識と医療技術を有する神経内科医が救急部と連携して治療の第一選択であるt-PA静注治療を担当する。脳卒中患者対応の専用ホットラインを設置し近隣医療施設や同窓のコンサルテーションの窓口として活用してゆく。t-PAで再開通が得られない時にはカテーテル手術による詰まった血管を再開通させる血栓除去術の適応となる。当院では脳血管内治療専門医が8名在籍(うち指導医2名)し、最新鋭の治療室三部屋(手術室2、血管撮影室1)を使って世界最高レベルの治療環境が整備されている。(写真1)

2.最先端設備の脳卒中ケアユニット(SCU:S-^ntroke care unit)
 脳卒中後のケアおよびリハビリテーションを行うための脳卒中専用病床としてSCUを中央棟16階病棟に開設した。専門的知識と技術を有する脳卒中ケアユニット専属看護師を配備し質の高い看護により早期社会復帰を目指す。当院SCUは病院とは思えない、世界にも類をみない画期的なデザインを採用しホテル並みの快適な空間を実現した。毎日神経内科、脳神経外科、リハビリテーション科、看護部、理学療法士がカンファレンスを行い脳卒中患者さんの治療方針を総合的に決定している。(写真2、3)

3.最新の脳卒中リハビリテーション環境
 当院リハビリテーション科は脳卒中に対するリハビリテーションでは世界的に評価の高い経頭蓋磁気刺激装置(TMS)による麻痺の回復治療をはじめとする早期リハビリテーション治療とその後の回復期リハビリテーションを提供している。リハ専門医のいる都内の複数関連病院があり、発症直後より積極的なシームレスなリハビリテーションを行い早期回復が期待できる。

4.ITを用いた医療連携システムの構築
 前述のように都内で急性期脳卒中治療が可能な病院は限られており、また治療可能な病院であってもベッドが満床であったり専門医が不在であった場合治療がいつでもできるとは限らない。そこで慈恵医大を中心として都内有力病院である虎ノ門病院、済生会中央病院、日赤医療センター、東京医科歯科大学が連携してITを用いた医療連携システムを構築した。我々が開発し、NTT docomoが販売するこの医療ITソフト(JOIN)を活用した医療連携システムは従来の大学の系列の壁を取払い、患者のために一刻を争う脳卒中患者の治療を最適な医療施設に転送したり、コンサルテーションが可能なネットワークを構築した。このシステムは世界的にも高い評価を得て、米国、ブラジル、台湾などでも導入されている。
 同窓の先生方、近隣病院とも連携をはかり、世界最高レベルの脳卒中治療を提供することで寝たきり患者さんを減らし社会に貢献してゆく所存である。

top