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東京慈恵医科大学同窓会

最新情報


2015年07月25日 第88回慈大呼吸器疾患研究会開催

 平成27年3月11日、本学西新橋校大学1号館6階講堂において児島章内科学講座呼吸器内科教授が当番世話人となり開催された。前半の症例検討会は、石川威夫助教(柏病院呼吸器内科)の司会の下、宮川友美絵医師(葛飾医療センター呼吸器内科)より「偶発的に発見されたスリガラス陰影の1例」が発表された。胸膜直下に散在する陰影を呈し、非典型的画像所見であったため、診断に難渋した肺胞蛋白症の症例であった。胸腔鏡下肺生検については、平野純助教(葛飾医療センター外科)より説明をいただいた。末梢のスリガラス陰影を呈する症例の中で、特に小葉間隔壁肥厚の目立つ症例においては肺胞蛋白症を鑑別に含めることで早期診断につながることが今後期待される。
 後半の特別講演は、理化学研究所統合生命医科学研究センター呼吸器・アレルギー疾患研究チームの玉利真由美チームリーダー(昭62)をお招きし、「呼吸器疾患のゲノム解析」と題して、講演をいただいた。その中で、気管支喘息、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、そして慢性閉塞性肺疾患(COPD)について、ゲノムワイド関連解析(GWAS)や分子生物学的解析を用いて疾患の遺伝要因を明らかにし、科学的な病態解明を目標に研究を行なっている。初学者にもわかりやすく最新のデータを発表いただくとともに、将来の展望についても抱負を述べられた。最近のトランスレーショナル・リサーチの進歩には、感嘆するものがあった。
 大学内外から同窓生も含め40名ほどの参加があり、夜遅くまで活発な質疑応答があった。本研究会は、呼吸器疾患に関わる医療従事者・研究者を対象とした、最も歴史ある研究会のひとつであり、今後もさらに多くの御参加をお願いしたい。
(葛飾医療センター呼吸器内科・児島 章記)

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