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東京慈恵医科大学同窓会

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2015年08月25日 日本学術振興会特別研究員に選出される
坊野恵子君(平19・神経内科)


 本学大学院生の坊野恵子君が日本学術振興会特別研究員(DC2)に選出された。坊野君は神経内科から再生医学研究部に再派遣され、「家族性パーキンソン病由来iPS細胞を用いた病態」をテーマに研究を行っている。近年、レビー小体の主成分であるα-synucleinが細胞間を移動して脳内を伝播していくというプリオン仮説がパーキンソン病の病態として提唱されている。
 坊野君は本疾患における細胞内で異常凝集体を分解・除去する機構の脆弱性に注目し、ヒト培養ドパミン神経細胞を用いて神経変性機構を明らかにしようとしている。特筆すべきことは、長年にわたり本学の附属病院に通院している3名の家族性パーキンソン病患者の協力のもとに供給された末梢血単核球からiPS細胞を樹立し研究に応用していることである。
 本研究は、患者に寄り添いかつPhysician Scientistの目を持つ経験豊かな臨床医と、研究への情熱あふれる大学院生、そして最新の研究技術を持つ基礎研究室が築いたコラボレーションであり、「慈恵らしい研究」のモデルケースとなるだろう。研究を加速させる細胞が「Bedside to Bench」に提供されたのに対し、近い将来、坊野君が新規治療法の開発に資する研究成果として「Bench to Bedside」に貢献するだろう。
 なお、近年本学から特別研究員への選出が増えているのは、ひとえに申請書の書き方から二次面接での発表の仕方にいたるまで大学院生をきめ細かく指導されている嘉糠洋陸教授(熱帯医学講座担当)の情熱の賜であることを申し添えたい。
(再生医学研究部 岡野ジェイムス洋尚記)

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