東京慈恵医科大学同窓会
最新情報2015年09月25日 パネルディスカッション
「都市型地域医療連携の課題と解決策」
情報通信技術（Information and Communication Technology：ＩＣＴ）化の波は、医療界に確実に押し寄せている。本学においても病院情報システム（Hospital Information System：ＨＩＳ）の導入は完了し、画像フィルムなどの各種データは概ねデジタル化され、本院を除く三附属病院では診療録に至っても電子化されて効率よく運用されている。さらに、本年度中に携帯端末（ＰＨＳ）をスマートホンに移行し、他施設に先駆けてモバイル環境を整備して教職員の情報共有の強化を図り、その仕組みを徐々に患者サービスへと利用拡大する予定である。医療においてＩＣＴの進歩が重要な事は、単に便利ということではなく電子化された医療情報がコミュニティー内部で共有化され、より高度な医療技術の提供に始まり医療安全に至るまで、質の高い医療環境を構築できる点である。公的機関や各企業においても、医療データのモバイル化やクラウドサービス化といったＩＣＴ化の将来像とその実現化に向けた具体的な取組みが活発になされており、情報ネットワークの活用が確実に広がりつつある。
今回のシンポジウムでは、「本学の医療におけるＩＣＴ化の現状」を紹介した後で、ＩＣＴ戦略室長の中田典生准教授から「医学における人工知能2045年問題について」という題で、コンピュータ・テクノロジーが指数関数的に進化を遂げ続けた30年後には、人間がその将来を予測できなくなるとする仮説について、人工知能の医学における可能性という観点から解説して頂く。次に、人工知能の開発を先行する日本アイ・ビー・エム株式会社の元木剛理事から、「学習するシステムWatsonの最新状況と医療分野での活用事例」と題して、ＩＢＭにより自然言語を理解・学習し人間の意思決定を支援する学習するシステムWatsonに関して最新の情報を提供して頂く。そして、先端医療情報技術研究講座の�眸�洋之准教授から「ＩＣＴによる慈恵の未来医療予想図」と題して、自らが開発に携わったスマートホンを活用した医療関係者間コミュニケーションツール「ＪＯＩＮ」を中心に、それらを活用した本学における医療システムのロードマップを示して頂く。最後に、株式会社ＮＴＴドコモ・メディカルＩＣＴ推進室の有田浩之氏からは、「NTTdocomoのＩＣＴソリューションで医療分野の発展へ」と題して、「ＪＯＩＮ」を開発し提供するに至ったＮＴＴドコモとしての取り組みに関して講演して頂く。今回のシンポジウムを通じてＩＣＴ医療における本学の進むべき方向性を皆さんと一緒に考えたい。
