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東京慈恵医科大学同窓会

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2016年04月25日 大学講座シリーズ?「内科学講座 循環器内科」
講座担当教授 吉村 道博


 循環器内科は内科学講座の一つとして、診療・教育・研究の全てにおいてバランス良く、そして積極的な展開ができるように常日頃より心掛けています。
 診 療      
 診療面では、循環器内科がカバーすべき疾患は主なものだけでも虚血性心疾患、不整脈、心不全、肺血栓塞栓症があります。また、近年の高齢化に伴って種々の全身性疾患を併発しておられる患者さんが多く、心臓だけではなく全身に常に注意して診療を行っています。他の診療科とも密接な連携を取らせていただいており、ご協力に深く感謝申し上げます。心疾患の特徴として救急を要するケースが多く、医局員は昼夜を問わず奮闘しております。救急隊からの要請は可能な限り積極的に受け入れ、さらには24時間365日対応の循環器内科医直通電話も開設致しました。昨今の社会的な要請もあり、急性期診療には今後も特に力を入れていきたいと思います。一般病床、CCU、そして二つの心臓カテーテル室はほぼフル稼働している毎日であります。同時に重症例も増えており、その対応は医療安全面も含めて慎重に行っています。
 治療技術面では、虚血性心疾患におけるカテーテル治療は長年の歴史があり、安全性を重視しながらも冠動脈の複雑病変の治療にもチャレンジしています。新しいデバイスなども駆使して高いレベルの質の維持に努めております。不整脈治療に関しては、特に心房細動のカテーテルアブレーション手術で当院は日本における最先端の治療ができる施設の一つとなっており、症例も年々着実に増加しております。徐脈性不整脈や致死的不整脈に対応すべく、各種のペースメーカーの植え込みも多数行っています。そして当科では最近、大動脈弁狭窄症のカテーテル治療(TAVR) を開始するなど、大学病院に求められるより高度な医療の実践において更なる高みを目指しています。TAVRは心臓外科、血管外科、麻酔科、放射線科、リハビリテーション科やコメディカルと共にハートチームを構築することでそれぞれの専門分野をお互いに補完しあい、安全でより質の高い治療を提供できるように心掛けています。
 教 育      
 教育面は、学生の将来の為に、そして大学や教室の発展の為に極めて重要な位置を占めております。当科では講義はもとより、病棟・CCU・心臓カテーテル室での実習において個々の学生の能力や興味にも配慮しながら親身な指導を行い、レベルアップを図っております。受け持った症例は実体験として長く記憶に残るようにしたいと思っております。単に知識や技術の修得のみならず、医師としての責務および医療安全への配慮もできるように指導しております。そして、医学が大変興味深く、生涯にわたって学んでいく学問であるということを深く認識してもらえるように心掛けております。幸い最近、循環器病学に興味を示す学生が増えているように思います。教員のみならず全ての医局員が学生を様々な面からサポートできるように今後とも心掛けていきたいと思います。
 研 究      
 研究面では、各々の医師の臨床経験を背景に、学術的な興味も勘案してテーマを決めています。研究班としては、便宜上、虚血性心疾患・不整脈・心不全・画像・心臓生理・分子生物学に分けてはおりますが、各研究班の垣根は低く、それぞれが融合しながら、そして時にプロジェクトを作りながら展開しています。研究成果は専門性の高いジャーナルに毎年アクセプトされており、さらなる高みを目指しています。学内外での共同研究も積極的に行っており、既に複数の成果を報告しています。そして最近は関係者の努力もあり、臨床データベースの構築が軌道に乗り、新しい情報が日々蓄積されています。それを基盤に高度な統計学的手法を駆使して新しい臨床医学研究が展開できるのではないかと様々なアイデアを育ませており、実際にその成果が出始めたところです。当科では、臨床で出会う様々な事象に対して深く考えて行動することのできる優れたPhysician Scientistを目指して活動を展開しています。

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