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東京慈恵医科大学同窓会

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2016年06月25日 大学講座シリーズ?「整形外科学講座 」
講座担当教授 丸毛 啓史


 整形外科学講座は、大正11年1月(1922年)に我が国で5番目、私学では最初に誕生した整形外科学の臨床講座であり、平成33年(2022年)には開講100周年を迎えます。現在、現役教室員105名、同窓313名を数えます。開講当時より建学の精神と伝統を重視し、「優れた知識と技術」と「医の心」をあわせ持った医師の育成に情熱を注ぎ、正しく明るい講座をモットーとしています。
 診 療      
 診療面では、新生児から高齢者までのあらゆる年齢層の運動器疾患および外傷を扱っています。その診療には専門性が必要とされるため、十の専門班(膝、股、脊椎、肩、足、手、外傷、リウマチ、骨代謝、腫瘍)とスポーツ・ウェルネスクリニックに責任者をおき、その指導の下に診療を行っています。平成27年度の手術件数は、本院が1257件、三分院合計が1741件、関連病院合計が3153件(国立病院機構宇都宮病院、神奈川県立リハビリテーション病院、厚木市立病院、国立病院機構西埼玉中央病院、富士市立病院、都立豊島中央病院、東急病院)と豊富な症例数を誇っています。同窓の先生方には多数の患者さんをご紹介いただいていることに感謝いたします。
 治療面では、附属四病院が連携しながら先進的な治療技術を取り入れています。変形性膝関節症や股関節症に対する人工関節置換術では、両側同日の手術や難易度の高い再置換術を積極的に行っており、都内の大学病院の中でも有数の症例数を誇ります。また、膝や股関節、肩および手・足関節に対して関節鏡を用いた低侵襲な治療を行っています。特にコンピューター・アシステッド・サージャリー(CAS)による正確で再現性の高い医療技術をいち早く導入し、人工関節置換術、骨切り術、関節鏡視下手術に応用しています。また、独自に開発した医療材料(人工骨、骨切り固定材、骨折固定材)の認可を取得し、良好な臨床成績をあげています。スポーツ・ウェルネスクリニックは、サッカーJ1湘南ベルマーレのチームドクターを担当していますが、こうしたトップアスリートのみならず一般のスポーツ愛好者にいたるまでを対象とした幅広い診療を行っています。脊椎・脊髄疾患に関しては、当講座の脊椎班と脳神経外科学講座の脊椎班が協力して脊椎・脊髄センターを立ち上げ、患者さんから分かり易く、専門性の高い診療を行っています。
 研 究      
 先進性の高い診療を支えるのが当講座の基礎研究です。「臨床で沸き上がった疑問を基礎研究で解決する、町工場発の世界初をガイドラインへ」という基本理念のもとに、Translational Researchに重点を置いて行っています。コラーゲンの老化に関する研究では世界のトップレベルの実績を有しています。運動器疾患における重要なテーマである「疼痛」「骨代謝」では、CellやNature Medici-neといったトップジャーナルにも掲載される成果をあげています。また、靱帯、腱および骨の再生医療、サルコペニア(筋減少症)などの研究に力を入れています。さらにメタボリックシンドロームとロコモティブシンドロームの垣根を越えた臓器連関についても研究を行い、この分野でも国際的にトップレベルの成果を得ています。
 教 育      
 卒前教育では、個性豊かな学生の潜在能力を引き出し、勉学心と創造性、独自性を育成しています。患者さんの背景やニーズを適切に理解した上で、整形外科医として運動機能を再建することの意義、そして責任の大きさを学びます。卒後教育では、臨床研修修了後、3年間のレジデント期間中は附属四病院、および関連病院を六ヵ月のサイクルで研修し、多彩な指導者の下で、多くの症例を経験し、整形外科の総合医として必要な技術と知識を習得します。専門医の取得前後に希望するサブスペシャリティへと進み、更に高度で専門性の高い臨床経験を積みます。
 講座員は卒前および卒後教育の過程で、医学は生涯教育であることを学び、大学講座としての責務である研究に裏打ちされた「安全、安心で質の高い先進医療の実践」に邁進しています。

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