トップページ

東京慈恵医科大学同窓会

最新情報


2016年08月25日 第1回 慈恵ーMayo Clinicジョイントシンポジウム
高木兼寛先生のMayo Clinic訪問110年目を記念する講演会のお知らせ


9月30日(金)開催予定
シンポジウム 18:30〜20:00「Mayo Clinicにおける医療連携」 懇親会    20:30〜
主   催:慈恵医大国際交流センター
プログラム:シンポジウム(大学1号館講堂(3階))総合司会 宇都宮一典教授 炭山和毅教授
 開会挨拶 松藤千弥学長
 開催経緯 炭山和毅教授「1枚の写真が残した慈恵とMayo Clinic の絆」
 招聘講演 Dr. David Rosenman Hospital Medicine: Past,Present,and Future  *Dr. James Newman  Managing Patient Flow     *Dr. Atsushi Sorita 米国における病診連携 (*英語による講演)
 閉会挨拶 丸毛啓史附属病院長
懇親会(中央棟8階 レストランパティオ)
 開会挨拶 栗原 敏理事長

シンポジウム開催にあたり
国際交流センター長放射線医学口座担当教授 福田国彦

 学祖高木兼寛先生は一九〇六年に世界講演旅行を行い、母校セントトーマス病院で3回にわたる有名な脚気に関する講演を行った。その講演内容がLancet誌に掲載されているのは周知の通りである。その後、米国ロチェスターのMayo Clinicを訪問し講演をされたが、これが日米で高名な病院と医学校を創設した高木先生とDr. WW Mayoの出会いである。Dr.WW Mayoは英国人移民であり、英国で教育を受けた高木先生と患者優先の医療という点で意気投合したのかも知れない。
 その後、両校の交流は1932年まで続いた。先の大戦で途絶えた両校の繋がりであるが、84年の歳月を経てここに再開するのは高木先生の教えを受け継ぐ私たち同窓にとってこの上ない喜びである。
 第一回ジョイントシンポジウムの開催に当たり、プログラムの冒頭では、松藤千弥学長による開会挨拶に続き、炭山和毅教授から、開催経緯として、Mayo Clinicの会議室に掲げられているMayo Clinic創設者Dr.WW Mayoと学祖高木兼寛先生が写っている写真にまつわるエピソードに基づいて本学とMayo Clinicとの繋がりについて報告がある。
 続いて、病院における総合診療の実践についてMayo Clinic 及び米国での実情に関してMayo Clinicからの3名の招聘演者による講演がもたれる。
 演題一は、Dr.RosenmanからHospital Medicineが専門領域としてどのように確立しつつあるかについて入院患者のケアに携わる医師であるホスピタリスト(病院総合医)の役割の紹介を交えたご講演、演題二は、Dr.NewmanからMayo Clinicにおける入院から退院までの患者フローの管理モデルをテーマとしたご講演、演題三は、Dr.Soritaから米国での病診連携について、かかりつけ医と病院の関係、外来と入院診療の役割分担などの視点からのご講演が予定されている(Dr. RosenmanとDr. Newmanの講演は英語)。
 Mayo Clinicと本学との繋がりを背景として、招聘演者からHospital Medicineへの取り組みに関する講演を受け、医療の質の改善について共に考えるプログラムとなるように企画した。奮ってご参加願いたい。
 この記念すべきシンポジウムを通して両校が再び深い絆で結ばれることを切望する。


シンポジウム開催にあたり
内視鏡科教授 炭山和毅
 米国ミネソタ州ロチェスターに本部があるMayo Clinicは1883年にWilliam W Mayoらによって創設され、現在では全米最高峰の病院として世界的に知られている。そのMayo Clinicには高木兼寛・喜寛両先生がMayo家の先生方と写る、1900年代初頭に撮影された写真が大切に保管されている。高木兼寛先生は、欧米列強を巡る外遊中、1906年6月19日〜23日の間、Mayo Clinicを訪問され、WW Mayo先生と親交を深められた。WW Mayo先生は学祖の訪問に大変感謝し、1907年に、東京まで学祖を訪ねている。掲載の写真は、WW Mayo先生が東京を訪問された際に撮影されたものと推察される。
 一方、喜寛先生は、1924年、東京帝国大学の長与又郎氏と三浦謹之助氏、京都帝国大学の藤浪鑑氏らと共にMayo Clinicを訪問された。その際、WW Mayo先生の次男で、米国医師会会長も務められたWilliam
J Mayo先生と撮影された写真がMayo Clinicには保管されている。二人の書簡の交換は少なくとも1932年までは続いていたようである。
 今回、学祖のMayo Clinic訪問110年目を記念して、医史学とHospital Medicineがご専門のJames Newman先生をお招きし、シンポジウムを開催することとなった。Newman先生と、もう一名の招待演者である反田先生は、Mayo先生と高木先生の友好関係について論文発表をされている。シンポジウムの主題は、Mayo Clinicにおける最先端の医療連携システムや総合診療部門についてである。今回のシンポジウムをきっかけに、両施設の全人的、横断的医療の推進と、更なる相互交流の深化を図りたいと考えている。

シンポジウム開催にあたり
同窓会副会長・慈大新聞広報委員長 穎川一信
 明治39年6月に学祖高木兼寛先生が欧米旅行の途中に、Mayo Clinicを訪ねてから110年経ち、その間、栗原敏理事長、炭山和毅教授をはじめ、各講座から多くの先生方が留学しているが、平成27年に慈恵医大とは創立当時に深い関係にあることが判明した。これを機に大学が学祖訪問110年を記念して、第一回慈恵―Mayo Clinicジョイントシンポジウムを開催することとなり、同窓会としても誠に喜ばしいことである。
 クリニックの土台となった診療所は130数年前に辺境の地に創立されたにもかかわらず、そのあと長い年月を経ても存在し続け、今ではアメリカでもっともすぐれた病院の一つに数えられている。大規模な総合病院だけでなく、附属の医学校も含めて、国内外で高い評価を受けている医療研究機関でもある。創立時の精神を堅持し、進化をつづけ、世界の医業の模倣となって存在し続けていることは、本学の教職員、学生にとっても学ぶべき点が多いと思われる。Mayo Clinicの精神はThe need of the patient come first.であり、学祖の患者中心主義と相通ずるところがある。患者さんに対するサービスマネージメントは同窓の皆様にも毎日の診療の参考になるものと思われる。
 同窓の皆様が多数参加されることを期待する。

top