トップページ

東京慈恵医科大学同窓会

最新情報


2018年07月25日 第39回東京慈恵会医科大学附属病院医療連携フォーラム開催

平成30年8月4日(土)PM5:00〜8:00
講演会 大学1号館講堂(3階)PM5:00〜6:15
懇親会 2号館講堂(1階)PM6:40〜8:00
座長(生涯学習センター長) 安保 雅博教授

 第39回慈恵医大夏季セミナーは、「東京慈恵会医科大学附属病院医療連携フォーラム(旧慈恵医大夏季セミナー)」と名称が変わった。主催は東京慈恵会医科大学生涯学習センターと東京慈恵会医科大学附属病院患者支援・医療連携センターで、共催は慈恵医大同窓会・慈恵医師会・港区医師会であり、今回の講演の関係で私立大学等研究ブランディング事業も加わった。この慈恵医大夏季セミナーには、進歩発展した医学の知識をよく理解できるように、優しく解説するような講座を卒業生および地域医師会の方々のために開放すべきとの理念がある。
 今回のテーマは、「精神科診療トピックス:うつ病の新しい治療ともの忘れ外来最新事情」で開催される運びとなった。IT化と超高齢化が進む中、うつ病と認知症は社会問題になっているほど重要な課題である。まもなく保険収載されるうつ病に対する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)治療の第一人者のエキサイティングな話、認知症のリアルな姿や本当に必要な支援は何かを考えさせられる話、ご参加の皆様には知識を深めていただき、是非とも慈恵医大の精神科に患者さんをご紹介いただければと思う。また、講演会終了後の懇親会にも参加いただき医療連携を深めていただければ幸いである。


第1部
認知症早期発見時代のメモリークリニックの活用法
精神医学講座 繁田 雅弘教授

 メモリークリニックの対象疾患はアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭葉変性症といった疾患です。正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫、てんかんなどの場合は脳神経外科やてんかんの専門医の協力を得ます。以前、認知症といえば、嫌がる本人を周囲が説得して病院を受診させることが多かったのですが、近年は受診者の姿が変わりました。自分で物忘れを心配し、家族を心配させたくないと自ら受診する人が増えました。自分らしい生活をなんとか継続したいと願う人たちです。ただし自分一人で頑張ろうと無理をしてはいけません。かかりつけ医やケアマネージャーのアドバイスをいかして、ヘルパーなど一定のサポートを得て生活を再起動すれば、その後、進行が緩やかで、穏やかに長く一人暮らしを続けられる人が多いのです。一人でも多くの認知症の方が自分らしく暮らせるように慈恵医大のメモリークリニックは応援します。


第2部
うつ病の最新治療反復経頭蓋磁気刺激療法
精神医学講座 鬼頭 伸輔准教授

 うつ病は、最も患者数の多い精神疾患の一つであり、わが国では、およそ100万人超の患者が治療を受けている。従来、うつ病の治療として、休養、環境調整、薬物療法、心理教育、認知行動療法などが行われてきた。日本うつ病学会のガイドラインによると、中等症以上のうつ病には薬物療法が推奨されているが、約三割のうつ病患者は、抗うつ薬による薬物療法が奏功しないことが知られている。このような治療抵抗性うつ病への新規治療法として、わが国でも反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS療法)が承認された。rTMS療法は、入院だけではなく外来でも実施することができ、忍容性の高い治療法である。一方、その実施にあたっては、有効性や安全性の観点から、適応の有無を十分に評価する必要がある。今後の課題としては、普及に向けたrTMSの適正使用や技術の均てん化に関する対策、維持療法における刺激条件の標準化、双極性障害への適応拡大などがある。

top