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東京慈恵医科大学同窓会

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2020年12月25日 同窓会女性医師キャリア支援活動(その23)

耳鼻咽喉科学講座における女性医師の現状と展望

耳鼻咽喉科学講座担当教授 小島博己
耳鼻咽喉科学講座講師   櫻井結華

 当医局は、附属4病院のほかに12の派遣病院を持ち、国内の耳鼻咽喉科では最大規模を誇る。附属病院(本院)は、一般的な耳鼻咽喉科疾患に加えて頭頸部腫瘍外科としての特色を強く持つため業務は早朝から深夜に及び、この雰囲気は全関連病院でも共通である。そのためか、かつては男性医局員が圧倒的に多かった。平成10年(1998年)度では、医局員85名中女性医師は5名(5.9%)で、育児をしながら勤務している者は1名であった。時は経ち、令和2年(2020年)現在、医局員140名中女性医師は38名(27.1%)、このうち育児中の者は55.2%にのぼる。専門医試験は入局5年目(卒後7年目)に行われ、女性医師38名に関しては専門医取得前医師11名(28.9%)、専門医取得済医師27名(71.1%)と、専門医取得後も勤務を継続する傾向にある。
 一方で、大学院進学者・留学者は医局全体で12名だが、女性は1名(配偶者の転勤による国内留学)のみであり、研究分野での男女差が大きい。前述のように20年前と今では医局員の男女構成が大きく変化した。以前は個別対応で女性医師のキャリア継続の道を探ることができたが、今は、より組織的に考えるべき岐路に立っている。とはいえ、育児と仕事のエフォート率への考え方や家庭の保育体制等が各々異なるのは当然であり、多様性を認める風土も必要であろう。また、夫婦共働きが一般的となった現代では、女性だけではなく男性に関してもライフイベントに際しての必要な支援を考慮すべきと思われる。今や医局全体の約3割が女性医師であり、女性医師のキャリア形成・活用を真剣に考えることが、医局の発展にとっても重要課題であると考えている。

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