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東京慈恵医科大学同窓会

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2024年11月25日 市原巧介君(平28)第39回日本白内障屈折矯正手術
学会賞(Best of JSCRS)を受賞


 令和6年6月、福岡国際会議場で開催された第39回日本白内障屈折矯正手術学会(JSCRS)学術総会において、眼科学講座の市原巧介君(平28)がBest of JSCRSを受賞した。Best of JSCRSは、全一般演題の中から最も優秀な演題に対して白内障手術部門と屈折矯正手術部門にそれぞれ1名に与えられるもので、今回市原君は「成熟白内障の水晶体前嚢病理像からみる水晶体上皮細胞の形態変化」という研究で白内障手術部門のBest of JSCRSを受賞した。
 白内障は主に加齢により進行するが、アトピー性皮膚炎、外傷など、様々な原因で加齢より早期に発症する。その中には水晶体の白色化と膨張が急激に進行する症例が存在し、急速な視力低下を引き起こし成熟化する。このメカニズムを探るため、市原君は術中に摘出した水晶体前嚢の病理学的観察を行い、水晶体の内部構造の変化に伴う水晶体上皮細胞の形態の違いに気が付いた。これは急速進行する白内障のメカニズムを探るうえで重要な発見である。
 本学出身者の同賞の受賞は平成30年33回JSCRS以来6年ぶりである。前回の受賞は市原君を普段から研究指導している増田洋一郎君(平9)であり、市原君にとっても同じ賞をとれたことは喜びもひとしおであったであろう。
 白内障はほとんどの人が発症する病気であるが、その発症メカニズムについては現在でも不明な点がまだまだ多い。特に若年発症し急速に進行する症例は、成熟化すると手術の難易度が高くなるため手術のタイミングが重要となる。その意味で本研究は、白内障の進行速度の見極めに繋がることが期待される。さらなる市原君の研究の発展に期待したい。
(眼科学講座担当教授 中野匡記)

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