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東京慈恵医科大学同窓会

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2020年11月25日 第137回成医会総会パネルディスカッション2

日本の情勢について
感染制御科教授 吉田正樹

 第1波では、3月下旬より患者は急増し、4月10日に708名、第2波では6月下旬より急増し、8月7日に1,595名と最多となり、9月13日現在で国内の感染者の累計は、75,322名、死亡者数は1,441名となった。
 第1波では、検査体制が十分でなく、有症状者が検査出来ない状況があり、実際の感染者数は確認できた感染者数よりはるかに多いと思われる。日本と諸外国の接触者調査には違いがあり、諸外国では、前向き接触者調査が行われ、新規感染者が発生した場合、その感染者の濃厚接触者が発症するかを確認する。一方、日本では前向き調査に加えて、発症者の過去の行動調査を行い、共通の感染源となった場所を見つける。2次感染者数を調べた結果では、約7〜8割は他人に感染させていない。しかし、閉鎖空間にいた人は、10名前後に感染させる。密閉、密集、密接の3密状況がクラスターを発生させやすいことが分かった。伝播様式は、主に飛沫感染であるが、空気感染との中間のマイクロ飛沫によるエアロゾル感染も起こる。感染性は発症前2、3日前に始まり、発症後7日以内に低下する。44%が発症前の人から感染が起こっている。人口100万人あたりの死亡者数で見ると、ペルー、ベルギー、スペインなどが多く、600人を超えているが、日本では、11人、141位であった。年齢が上昇するごとに致死率は上昇し、八十歳代男性では35%を超える。医療従事者として大切なことは、常時マスクを着け、3密状況を避けることである。

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