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東京慈恵医科大学同窓会

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2021年01月25日 松藤千弥 学長 新年挨拶

新年のごあいさつ

 謹んで新年のごあいさつを申しあげます。昨年、2020年は、新型コロナウイルス感染症のために、1年前にはまったく想像できなかった年になりました。状況はこの年末・年始にかけて、さらに悪化しています。私たちにとって、患者さん、学生そして私たち自身の感染を最小限にしながら、大学の使命を果たして行かなければならない、大変厳しい年明けになったと認識しています。特に、医療の現場で刻々と変わる状況に献身的に対応しているスタッフの皆さんには心より敬意を表します。
 極めて喫緊の課題は、医療の継続と安全確保です。大学にとっては教育の継続も非常に重要です。学生諸君の人生において、今という時間は先延ばしできないからです。特に医療現場での実習が困難になる中、教育に空白を作らないようにする懸命の努力が続けられています。同じ理由で入学試験も必要性が大きい事業です。感染拡大の下では例年に増して多くの教職員のご協力が必要ですので、どうかよろしくお願いいたします。
 将来の感染状況は予測できませんが、大学として進めていかなければならない重要事項を挙げてまいります。
 まず、学校法人および大学のガバナンス改革です。今年は3年に1度の大学役員の改選の年に当たります。学長と理事長の改選もそこに含まれるわけですが、本学の学長・理事長の選任方法は、国が進めている、権限と責任を一致させることを基本とした大学改革の方向性に合致していません。昨年より教授会において学長の新しい選任方法に関する議論を重ね、概ね合意が得られたと考えております。今後は理事会において寄付行為を始めとする規程の改定作業を進め、理事会と学長の役割分担や、各種会議体の役割を明文化してまいります。
 第2に、本学が来年度から3年間にわたって受審することになる、看護学教育・医学教育の分野別認証と、大学基準協会による大学評価への対応です。これらの外部評価で最も重視されるのは、教育と組織の改善に向けた内部質保証システムが機能しているかどうかであり、本学では昨年に柳澤裕之副学長を委員長とする学校法人慈恵大学内部質保証推進委員会と、福島統教授を委員長とする東京慈恵会医科大学内部質保証推進委員会を発足させ、準備体制を始動させました。関連して、大学の理念や使命が整理されるとともに、教員評価に関する検討も進められています。両学科の分野別認証は、教育上未達成の課題を再認識し、コロナ禍を通じて手に入れた新たな教育手法を活用して教育を最適化するよい機会です。外部評価は、単なる外圧だとか、大学の特色を損なうと言う批判もありますが、本学に足りないものを見直すよい機会であり、幸いまだ時間がありますので、真摯な態度をもって皆で勉強していきたいと考えます。
 最後に、研究に関して述べます。昨年は感染状況下にも関わらず、各研究者は情熱をもって研究に取り組みました。ここ数年間整備してきた研究支援体制や、今年度大きく再編された教育・研究の事務組織体制も順調に機能し、今年度の研究活動を示す各種指標は昨年度よりかなり伸びることが期待されます。産学連携講座や大学発ベンチャーなどの研究成果を社会実装の仕組みも始動し、セル・プロセシング・ファシリティを活用した未来医療の準備も整いました。一方、研究環境や支援体制のさらなる整備を希望する研究者の声も多く聞きました。今年度は財政的問題もあって十分対応できていないと思います。教職員の皆さんの努力と団結によってこの危機を乗り越えられれば、改めて研究の振興を私の学長任期における第一の目標として取り組みたいと考えています。
 まずは自分自身と周囲の安全を守りながら、着実に前進して行きましょう。改めて教職員の皆さんのご協力と団結をお願いして、年頭のご挨拶といたします。

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