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東京慈恵医科大学同窓会

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2021年08月25日 新型コロナウイルス感染症(COVID-19 )
―これまでとこれから― 岡部信彦


川崎市健康安全研究所所長 岡部 信彦
(新型コロナウイルス感染症対策分科会委員・内閣官房参与・慈大客員教授)

 COVID-19は地球規模での流行となり、いまだ収束していない。三密を避ける、マスク・手指衛生・Social Dist-anceなどの、Non-P-harmaceutical In-terventionが対策の中心であったが、ワクチンや治療薬の登場によりPharmaceutical I-nterventionが加わり、車の両輪が揃ってきたが、δ株などの問題が新たに浮上してきた。情報氾濫の現代、不正確なあるいは誤った情報が急速に拡散し社会に影響を及ぼしている。WHOはこれをinfodemicと名付けて世界に警戒を呼びかけたが、まさにその中にはまり込んでいる。「人の病」だけではなく、政治、経済、国際社会の混沌を巻き込んだ「社会の病」となり複雑化していることも大きな問題点である。一方これを機会に医学的科学的には大きな進歩進展が見られている。短期的な解決のみではなく、今の現役世代はこれをさらに進展させ、新たな感染症の発生に対する備えとして次世代に残し、伝えていく義務がある。「嘆きと悩みのこの世を救う、唯一の使命は我等にあれば」とは歌いなれた慈恵医大学生歌であるが、まさに今その気概が求められている。

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