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東京慈恵医科大学同窓会

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2019年07月25日 大学講座シリーズ
「内科学講座 呼吸器内科」
講座担当教授 桑野 和善


 呼吸器内科は、旧第4内科の呼吸器グループから引き継ぎ、平成19年4月に内科学講座呼吸器内科として創設され、桑野和善が初代教授として就任いたしました。それから13年経過した現在、医局員の数は67人となり臨床、教育、研究いずれの面においても精力的に取り組んでいます。平成30年10月には、同門会も発足し、OB、OGとの連携も強化され、益々活気を得ています。

【診療】
 高齢化社会の到来に伴い、呼吸器疾患は人類が取り組むべきもっとも重要な課題のひとつです。近年、呼吸器感染症、肺癌、気管支喘息、COPD、間質性肺炎といった、全く性格の異なる呼吸器疾患が増加しています。WHOの報告では、2030年には、COPD、肺炎、肺癌が、全世界における死亡原因の3、4、5位になることが予想されています。教室としては、これらのコモンな呼吸器疾患の迅速かつ正確な診断、エビデンスに基づく治療を行っています。また、近年肺癌領域においては、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新規抗悪性腫瘍薬が続々と開発されています。当科としてもがん拠点病院として患者さんを積極的に受け入れ、最新の治療を行うとともに、多施設共同臨床試験にも多数登録して最新の治験開発に参加しています。
 2020年1月には附属病院(本院)の新外来棟が完成します。今後当科は、呼吸器外科と共にセンター化を目指して総合的な診療を行うことで、より多くの患者を受け入れ、スムーズな診療を行うことを目指しております。

【教育】
 呼吸器内科は、肺癌や重症呼吸不全の患者さんなど急性期から慢性期まで幅広い疾患を有するため、学生実習では様々な疾患を学習することができます。また重症患者さんに接してもらうことで、医師としての自覚と責任感が自然と芽生えるような環境を作っています。それぞれが医局員と同等にカンファレンスでのプレゼンテーションを担当してもらい、上級医から厳しい指導を受けながら鍛えられています。また卒後の専攻医教育については、気管支鏡や胸腔穿刺、ドレーン挿入などの手技習得も指導医のもと、積極的に経験できるよう心がけています。症例が豊富なため学会発表の機会も多く、日本内科学会や日本呼吸器学会、肺癌学会など多くの学会発表を指導しています。

【研究】
 研究面においては、呼吸器内科独自の研究室を立ち上げ、主に加齢疾患であるCOPD、IPF(特発性肺線維症)といった疾患を中心に臨床及び基礎研究を精力的に行なっています。現在大学院生五名と指導医を中心に、毎週リサーチカンファレンスで議論しながら研究を進めています。当研究室では細胞内恒常性維持機構であるオートファジーや細胞老化、細胞死、あるいはエクソソームの呼吸器疾患への関わりを解明することで、深く病態を理解し、新規治療法への応用を日々模索しています。業績は、当教室独自の報告として平成23年以降Journal of immunology 4報、Autophagy3報、Nature commu nications1報をはじめとした高インパクトな論文を多数発表しています。また国内では平成27年以降、日本呼吸器学会学術部会賞優秀賞2回、最優秀賞2回と毎年輝かしい実績を残しており、海外でも数々の賞を受賞しています。海外留学も積極的に進めており、現在6名留学しています。留学後は後輩の研究指導に当たることでさらなるレベルアップを目指しております。

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