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東京慈恵医科大学同窓会

最新情報


2019年07月25日 生涯学習センターだより

令和元年6月8日(土)開催月例セミナー

「前立腺癌の病理」病院病理部 教授 鷹橋 浩幸

 前立腺癌の病理学的な知見につき、基本的事項と最近のトピックを含め解説した。冒頭に日本人前立腺癌では欧米人と異なり、前方の移行領域を首座とする症例が約半数を占めること、後方増殖型の癌とは異なる臨床病理学的特徴を有することを示した。前立腺癌の悪性度判定に使用されるグリソン分類の概要と変遷を示し、前立腺癌の臨床における重要性を示した。
 またグリソン分類を元に作成されたWHOグレードグループ分類の骨子と臨床的有効性を概説した。最後にグリソン分類における第3パターンについて、針生検症例、全摘症例における最新の取り扱いと今後の方向性を具体例を挙げながら説明した。


「前立腺癌の臨床」 泌尿器科 准教授 木村 高弘

 局所前立腺癌に対する標準治療は手術療法または放射線療法である。手術療法には開腹、腹腔鏡およびロボット支援手術があるが、現時点で術式の違いによる優位性は示されていない。放射線治療も外照射と小線源治療(内照射)に大別されるが、いずれかの治療の優位性は示されていない。前立腺癌の多くは「臨床的意義のない癌」であるため、そのすべてに積極的治療をすることは過剰医療であると考えられ、低リスク癌に対しては監視療法が推奨されている。転移癌に対する標準治療は内分泌療法である。内分泌療法は強い効果を発揮するが、約2年で去勢抵抗性癌となる。去勢抵抗性前立腺癌に根治的な治療法はないが、数多くの新薬が開発されている。


今後の月例セミナー開催日程
第252回
 2019年11月9日(土)
第253回
 2020年2月8日(土)

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