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東京慈恵医科大学同窓会

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2021年12月25日 同窓会女性医師キャリア支援活動(その29)

形成外科学講座における女性医師の現状と展望
形成外科学講座 教授  宮脇剛司
        医局長 西村礼司

 本学の形成外科は1968年に創設され、長い歴史を持つ形成外科学講座である。現在44名が在籍し、女性医師は15名(34%)、うち3名が短時間勤務制度を利用している。医局員の23名が形成外科専門医を取得しており、うち女性は6名(26%)であるが、フルタイムで大学に勤務している女性専門医はいない。
 『形成外科』は、手術を主体とした外科であり、多彩な手術手技を習得するためには長期間の修練を要する。また、分野を先に進めるための研究、後進を育成し医療体制を維持するための教育等を行うためには更に長期間、大学に身を置く必要がある。一方、軽視できない問題点として給与・労働条件共に恵まれた保険外医療機関(美容外科クリニック)の存在があり、大学の給与や環境とシビアに比較される。
 文部科学省によれば近年の医学部入学者の女性比率は4割に近づいており、もはや女性医師は特別な存在ではない。このため、男性中心に設計された旧来の制度に女性医師をあてはめようとすることには限界がある。男女関係なく臨床、研究、教育、に関わり続けることが当然とならなければ、医科大学としての体制と推進力を維持することができなくなる。そのためには、ライフイベントを織り込んだ人員配置が必要であり、医師として適切なワークライフバランスの意識も確立していく必要がある。時代の変化に柔軟に対応し歴史ある講座をより発展させてゆくために、様々な意見を真摯に受け止め取り入れていきたい。

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