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東京慈恵医科大学同窓会

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2022年01月25日 新年のご挨拶
東京慈恵会医科大学 学長 松藤 千弥


 年頭にあたり謹んでごあいさつを申しあげます。私たちは一昨年、昨年に続いて、今年も新型コロナウイルス感染症の影響を強く受ける就業、学業そして生活を強いられようとしています。しかし1年前とは異なり、この感染症をよりよく理解し、さまざまな対抗手段を手にし、さらにその制圧に向けて前進していることを実感できます。これは科学の力によるところが大きいと思います。RNAワクチンひとつをとっても、短期間にこれだけの有効性を持ったものができたことは驚異的でした。私たち医療者、研究者だけでなく、一般の方の多くが科学研究の重要性を強く認識したことでしょう。
 さて私は昨年、新しい学長選任等規則の下で学長に再選していただきました。微力ですが精一杯務めさせていただく所存です。選考の過程で、学長候補者としての所信を提出し、さらに選考委員会でプレゼンテーションをする機会をいただきました。この所信を皆様にお届けする機会が未だなかったので、概要をお話したいと思います。
 中心に掲げたのは、「本学らしさを伸ばすとともに、時代の変化を意識した大学運営」です。具体的には、これを次の3つの柱によって進めて行きたいと思います。
 第1の柱は「時代の変化を捉えた教育改革」です。その中心は新型コロナウイルス感染症拡大によって後押しされたICTの活用ですが、医学科・看護学科ともに、知識教育やシミュレーション教育を推し進める一方、実習においては臨床現場でなければ学べないことをいかに集中的に学ぶかが大切です。新たな時代の教育を考えるにあたっては、デジタルネイティブであると共に、未曾有の感染症流行によって影響を受けているという、若い世代の学習者の特性に十分注意していくことが肝要です。
 2つ目は「研究という価値観の共有」です。最初に述べたような背景もあって、大学にとって研究が大変重要な使命であるということには、共感していただけると思います。特に本学では、研究を通じた患者貢献は「建学の精神」に直結します。しかし、研究の主体は研究者であり、大学の役割は研究環境の整備にあります。働き方改革や男女共同参画の流れの中で、大学の研究支援機能は一層重要になっています。学長就任以来取り組んできた研究の基盤整備をさらに進め、優れた研究成果をあげることにより、研究費の獲得だけでなく、優秀な研究者や学生が本学に集まるという好循環を促進したいと考えます。
 第3の柱、「創立150年に向けたチームづくり」は、予測困難な時代の中で、どんな状況にあろうとも、本学がその使命を果たせるように、構成員を育成し、その力を結集しなければならないということです。創立150年に向けた今後10年間は、次世代を担う大学人を育てていく絶好の機会だといえるでしょう。4月から始まる教育・研究に関する新体制も、この考えに沿って編成してまいります。また、学生を含むすべての大学の構成員に、本学の理念・使命と、創立150年に向けたビジョンを伝えるとともに、大学運営に関する透明性を一層強化します。また、大学と附属病院の教育・研究における連携をさらに深めます。そして、ICT、働き方改革、男女共同参画、教員評価等の新しい仕組みの導入や、今後の建築計画に、若手構成員の意見を十分反映させることが重要だと思います。
 4月からの3年間の学長任期に関する私の所信をお伝えすることで、2022年の始まりのごあいさつに代えさせていただきます。ご支援、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

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