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東京慈恵医科大学同窓会

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2022年02月25日 退任記念講義を終えて
泌尿器科学講座担当 頴川 晋教授


 最終講義でお伝えしたい4項目について以下に述べます。
 初めに「であいふれあいの妙」、ですが、小柴健教授、Peter T Scardino教授、そしてTimothy C Thompson教授をご紹介します。小柴先生は北里大学時代の恩師でおられ、米国留学を後押しして下さいました。ヒューストン、ベイラー医科大学、そこで前立腺癌の泰斗、Peter T Scardino教授、そしてTimothy C Thompson教授に巡り会ったのです。「これは本物だ、超一流の臨床、まばゆいばかりのアカデミズム」と、できることならこのような教室を実現したいと憧れるに至りました。
 次に「絶対の真理?」、につき。腹腔鏡下前立腺癌手術ですが、1999年にボルドーでの見学が端緒となります。当時は開放術をもっぱらとしておりましたので、「意味はないだろうけど見てみるか」位の不遜な気持ちでいました。ただ、天地が覆るほど驚いた。やはり「絶対はない」、偏狭な思い込みは浅はかだということを思い知った次第です。
 「至らず」の心構えについて。Gerald Chodak教授の1990年の一言が耳に残っています。「前立腺癌の分野は全く変わっていない。乳癌に比べると20年は遅れている」というものです。この人物にして「まだまだ」なのか、「至らず」を失念したときに、進歩は止まるのだと。
 最後に「ロープを渡し続ける」、について。ニーチェの著書、「ツアラトストラかく語りき」では、人間は「超えていく存在でなくてはならない」、また、人間は「超人に至るロープである」とも言っておるようです。私自身、これからもロープを渡していければと思っています。
 在任満十八年、道のりは平坦ではありませんでした。ゴールラインが見えてきた今、感謝の念しかありません。ありがとうございました。

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