トップページ

東京慈恵医科大学同窓会

最新情報


2022年02月25日 退任記念講義を終えて
臨床検査医学講座担当 松浦知和教授


 1983年(昭和58年)3月本学卒業後、第一内科の大学院生として“肝臓と肝臓病”の研究を開始しました。以来、40年、2022年(令和4年)3月で臨床検査医学講座・講座担当教授として定年退任を迎えることになりました。ひとえに本学の関係者ならびに多くの方々のご指導をいただき、本職を全うできました。ここに厚く御礼申し上げます。
 最終講義は、私が大学院生として与えられた「肝臓伊東細胞を培養して、伊東細胞による肝臓の線維化メカニズムを明らかにせよ」というテーマから始まったものの、“肝臓の伊東細胞を中心としたビタミンA代謝に関わる研究”という肝臓病とは何も関係のない研究に道を踏み外し、その後ビタミンAエステル化酵素LRATが伊東細胞マーカーであることを明らかとしたことから、もとの肝臓線維化研究に戻ってくることができたというお話をさせていただきました。道を踏み外しても温かく支えてくださった学内・学外の繋がり、特にビタミンA研究や伊東細胞研究では、良き友人の故・小嶋聡一博士(理化学研究所)との、TGF‐βによってコラーゲンを産生する筋線維芽細胞に伊東細胞が変化することを示すマーカーLAP‐Dの臨床検査への応用について発表いたしました。
 臨床も研究も一人で成し遂げることはできません。慈恵医大には同級生との強力な横糸、同窓〜特にクラブ活動でのつながり〜との縦糸が140年間にわたって紡がれており、個人としても何度もその繋がりに助けられました。私が所属する臨床検査医学講座は私が入学した1977年(昭和52年)に開講された慈恵医大の中では若い講座ですが、45年の歴史を経てようやく“働き盛り”となっております。9年前に基礎講座から臨床講座となりました。本講座が臨床データ・サンプルの集積・統合・研究利用のハブ機能を果たし、基礎と臨床・大学と病院・学と産のトランスレーショナルな役割を果たせるよう、講座所属の優秀で多様な先生方にその責務を託してまいります。同窓の皆様の一層のご指導をお願いする次第です。本学と同窓の先生方の益々の発展を祈念しております。

top