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東京慈恵医科大学同窓会

最新情報


2022年02月25日 定年退任にあたって
解剖学講座 橋本尚詞教授


 平成2年4月1日に本学第2解剖学教室に奉職し、早や32年が過ぎ去ろうとしております。着任当初は組織学と発生学の講義・実習を担当しておりましたが、時代の波は医学教育にも及び、講座単位での体系的な講義から臓器別のコース・ユニット制への変更やテュートリアル形式の症候学演習の導入などの大幅なカリキュラムの変革がなされ、試験や口頭試問も試験委員会の下で実施する総合試験、口頭試験に変更されました。その結果、教育の主体は講座から離れましたが、否応なくその流れに巻き込まれ、ユニット責任者を初め、試験委員長や症候学演習運営委員会委員長を務めることになりました。さらには学内の共用試験問題検討委員会委員長から共用試験実施評価機構の共用試験CBT問題や厚労省の看護師国家試験問題にも関わることになりました。この間、各種委員会では委員長として専断的な運営にもかかわらず諸先生方にご協力いただき、学事課の皆様には陰に陽にご助力いただき心より感謝申し上げる次第です。
 研究面では、着任当時は共焦点レーザー顕微鏡の黎明期であり、つくばの理研やツアイス本社で最新のレーザー顕微鏡を思う存分使わせていただき、試料作製法を検討する一方で蛍光標識ゼラチンを用いた血管系の三次元的観察法を開発することができました。また、抗がん剤で誘発された新規の運動失調マウス系統を樹立し、常染色体劣性遺伝であること、特定の知覚神経細胞や小脳核周囲に空胞変性が生じることなどを明らかにすることができました。しかし、第2染色体に多数の変異が見られることまでは解明できましたが、神経変性の責任領域を突き止めることができなかったのは心残りです。
 最後になりましたが、長きに亘り自由闊達に過ごさせていただいた石川博名誉教授、岡部正隆教授、ならびに教室の皆様に深謝申し上げます。

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