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東京慈恵医科大学同窓会

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2022年04月25日 同窓会女性医師キャリア支援活動(その31)

精神神経科における女性医師
精神医学講座担当教授 繁田 雅弘

 初診の担当医を決めるときには、専門性だけでなく性別を考慮することがしばしば治療効果を左右するのが精神科である。今後ますます女性が社会進出するようになると女性のメンタルヘルスの課題が多様化し、精神科における女性の役割はさらに増すであろう。
 一方、新型コロナウイルスの感染症(COVID-19)の拡大と遷延は、多くの医療職に著しい負担を強いることになったが、妊娠・出産や育児に携わる女性医師にとっては追い風の部分もあった。学会や研究会、研修会などがオンラインやハイブリッドになったことである。妊娠・育児中の女性が移動時間なく自宅から会に参加することができるようになった。専門医の単位の更新の苦労が減ったという女性医師の声も聞く。極端な例では子供を抱いたまま講演を聴くことさえ可能になった。国際会議で子供を抱いて講演を聴く人を目にしたこともあるが、子供が泣いたりぐずったりすれば、会場に居づらかったものと思われる。しかしオンラインでは自分のマイクをオフにすれば周囲に気遣うことなく講演を聴き続けることが可能である。
 私の前任地は現在の東京都立大学で女性研究者の環境支援が大きな課題であった。それを推進していた当時の原島文雄学長は、女性が働きやすい大学に変わろうとするとき、教員一人当たりの研究論文の生産性は一旦は下がるかもしれないが、それを超えて環境を整備することができたとき、多様で豊かな大学に成長することができると常々口にしていた。

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