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東京慈恵医科大学同窓会

最新情報


2022年05月25日 東京慈恵会医科大学附属病院医療連携フォーラム

 令和4年2月17日、附属病院の主催で医療連携フォーラムが開催された。コロナ禍に配慮しオンライン開催とした。冒頭、井田博幸院長より挨拶があり、日頃からの連携への謝意と近況について述べられた。本フォーラムは、同窓、同門、そして紹介元医療機関との強固な医療連携構築のために開催されている。過去の開催において「最新の医療情報」の共有に多数のご要望があったため、今回の主題を「拡がり始めた遺伝診療〜診断から治療・未病から予防へ〜」とした。悪性腫瘍のみならず多くの疾患の発症や病態、臨床経過が遺伝情報に因ることが明確になり、臨床現場では遺伝情報が多用されている。遺伝子検査も当初の診断から、現在は治療選択へと、広くかつ深く関与し始め、診療科を問わず遺伝診療の知識がますます重要になっている。
 附属病院では2019年に遺伝診療部が開設され、他科との連携による先端医療が提供されている。今回、診療部の紹介も兼ね3名に登壇頂いた。
 診療部長である川目裕教授から、「遺伝情報を利用した医療の現状-遺伝診断のいろいろ-」と題して、現状と将来ビジョンについてご説明頂いた。遺伝情報が全診療科で応用され、発症前診断では治療の進歩に呼応したactionabilityにより意義が経時的に変化する事を強調されていた。更に全ゲノム解析と遺伝カウセリングの重要性についても言及された。
 遺伝診療部も兼任されている乳腺・甲状腺・内分泌外科診療部長の野木裕子准教授から、「遺伝診療部をハブとしたHBOC(遺伝性乳癌卵巣癌症候群)のチーム医療」と題して、病態に加えサーベイランス、治療支援から血縁者対応まで院内の多極連携の試みを紹介された。
 認定遺伝カウンセラーの原田佳奈氏からは、「遺伝カウンセリングのすすめ〜わたしと家族の遺伝情報〜」と題して、遺伝診療での広範なカウセリング業務について説明頂いた。対象がPatientでは無くCl-ientであるとの認識は印象的であった。
 各講師は、遺伝情報について試料採取が「容易」、生涯不変であり血縁者に「共有」され、発症「予測」の可能性、遺伝子型と表現型に不確実「曖昧」性があることを共通して強調されていた。申込時に記入頂いた事前質問と講演時チャットで頂いた質問にもご回答頂き、予定時間を超えて活発な意見交換が行われた。
 引き続いて、本会主幹の患者支援・医療連携センター松尾七重副センター長から利便性を増した紹介方法の説明があり、栗原敏理事長より学内状況と大学の今後の方向性を踏まえた閉会の辞があった。
 次回はウイルス猛威が収束し、各講師との議論や意見交換、附属病院との緊密な医療連携構築のために直接お会いできるよう祈念したい。
(患者支援・医療連携センターセンター長 石川智久記)

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