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東京慈恵医科大学同窓会

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2022年11月25日 第139回成医会総会パネルディスカッション
「本音で語る慈恵医大の卒前教育と今後の展望」


司会 上園 晶一(麻酔科学講座担当教授)
   朝比奈昭彦(皮膚科学講座担当教授)

 パネルディスカッションでは、慈恵の卒前教育が正しい方向か検証し、今後に向けた展望を議論した。主催する我々も、事前に各学年にカリキュラムに関するオンラインアンケート調査を行った。特に今回特筆すべきは、実際に慈恵で卒前教育を受けた医学部学生と初期臨床研修医にプレゼンをお願いしたことである。学生代表として、学生委員会から6年川口幸太郎さん、5年馬場有夢さんが、また、卒業生代表として、基礎研究医プログラムを選択した初期臨床研修医1年成田凌先生、ならびに初期臨床研修医2年赤川立樹先生、同1年伴咲里奈先生が順番に登壇した。コロナ禍とカリキュラム変革が重なったこの時期、彼らがいかなる卒前教育を受けて本音でどう感じていたか、その実情を語るだけでなく、各々の立場で問題点の抽出や多くの建設的な提言が述べられた。彼らの立派なプレゼン能力には会場一同が感服しきりであった。カリキュラム全般や現状の座学・実習のバランスにおおむね満足できているものの、e-learningの比重などで個々人の意見が割れ、各科の講義や臨床実習で改善すべき点も多く示された。また、講義を聴講しない学生が少なくない一方、自主的な勉強により国家試験の合格率も高く、慈恵が国試受験予備校になる必要はない、とする本学の特徴が浮き彫りになった。学生生活では、自由な校風を評価する一方で、部活動の機会を必要以上に締め付けること等に要望が示された。
 続いて総合討論では、医学科教学委員長の竹森重教授から医学科達成指針やカリキュラムポリシーの紹介があり、全人的な医学生を作る教育を行っていることや、カリキュラムの改善を日々議論していること、また、コロナ禍をチャンスととらえてe-learningで自分のペースで学べる環境を整えていることが述べられた。医学科・臨床実習教育委員長の常喜達裕教授からは、各科の臨床実習を担う指導医への聞き取り結果をご披露頂き、教育する時間的余裕のない現状やパワハラなど指導医側の問題点の抽出や、良いカリキュラムが学生に伝わり教育の成長につながるとの理念が述べられた。最後に前学生部長の繁田雅弘教授から、燃え尽き症候群の危険性や予防と克服につき、専門的見地からお話があった。総括すると、慈恵の医学教育カリキュラムは過去から脈々と引き継がれて進化を続け、大いに誇れるものである。さらなる改善のための提言が学生、卒業生、大学側から示されて将来に向けた検討が約束され、非常に有意義な機会となった。発表された皆様と聴講された方々に改めて御礼を申し上げたい。
(皮膚科学講座 朝比奈昭彦記)

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