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東京慈恵医科大学同窓会

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2022年11月25日 先端医学推進拠点群の紹介(そのぁ

バイオフィルム研究センター
センター長 金城雄樹(細菌学講座担当教授)

 バイオフィルム研究センターは、2015年に文科省の私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「バイオフィルム感染症制圧研究拠点の形成」(研究代表水之江義充・前細菌学講座担当教授)の支援を受けて開設された本邦初のバイオフィルム専門研究機関である。
 バイオフィルムとは、微生物が菌体外に分泌する多糖類などの菌体外マトリクスと菌の集合体から成る構造物であり、バイオフィルム形成により薬剤に抵抗し、免疫を回避するため治療が困難になる。バイオフィルム感染症は多くの診療科にて重要な課題となっており、根本的な予防法・治療法の開発が急務である。
 本センターは、拠点本部のある細菌学講座の教職員を中心に、臨床講座、基礎講座および総合医科学研究センター・基盤研究施設の連携により、バイオフィルムの形成メカニズムの解明と臨床応用を目指した最先端研究を進めている。外科学講座・大木隆生教授、感染症科・吉田正樹教授、内視鏡医学講座・炭山和毅教授、整形外科学講座・斎藤 充教授、解剖学講座・岡部正隆教授はじめ多くの臨床および基礎講座の研究者が参画している。バイオフィルム感染症に対する新たな診断法・予防法の開発を目指し、臨床検体由来のバイオフィルムの細菌叢解析およびバイオフィルム形成における各細菌の役割と疾患との関連の解明に取り組んでいる。また、バイオフィルム感染症治療薬の開発を目指し、バイオフィルム形成機構の解明と形成阻害物質の探索を行っている。さらに、バイオフィルムの新たなイメージング手法の開発を推進するために、溶液中での電子顕微鏡観察が可能な大気圧走査電子顕微鏡などをいち早く導入し、着実に研究成果を出している。最近では、バイオフィルムの全体像を可視化するために、独自のバイオフィルム透明化法を開発して製品化する(杉本真也准教授・左写真前列右から2人目)など、産学連携にも力を入れている。これらの研究成果を継続的に国際学術誌に報告することで、本センターの活動は国内外から高く評価され、本邦におけるバイオフィルム研究の重要拠点として認識されている。
 本センターでは大学院生や医学科学生を積極的に受け入れ、次世代を担う若手研究者の育成に力を入れている。これまでに3名の大学院生がバイオフィルムの研究で博士号の学位を取得し、3名の医学科学生がユニット医学研究を選択し、MD-PhDコースに必要な単位を取得して卒業した。現在も医学科学生七名を受け入れ、講義や実習の合間にバイオフィルムの研究指導を行っている。9月に開催された第36回日本バイオフィルム学会学術集会にて、研究成果を発表した5年生の馬場有夢さん(右下写真前列中央)が若手研究発表賞金賞を受賞した。今後も学内外の研究室との共同研究をさらに活性化させ、最新の研究成果を継続的に発表していくとともに、若手研究者の育成にも尽力したい。

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