東京慈恵医科大学同窓会
最新情報2024年06月25日 医療連携フォーラム開催
〜第8次医療計画と地域医療の将来への議論〜
令和6年3月14日、2号館講堂とオンラインのハイブリット開催で行われた医療連携フォーラムに東京都医師会、港区医師会、慈恵医師会の後援を得て、約150名が参加した。本会は同窓同門に加え紹介元医療機関との強固な医療連携を構築のために例年開催されている。新年度は診療報酬改定に加え、中長期の地域医療の方向性を示す医療計画の策定年度となる。そこで、今回は従前企画とは異なり当院と同窓同門、紹介頂く医療機関と双方で新型コロナウイルスのパンデミックで大きく変化した地域医療環境を相互理解することを主旨として、「5年先の医療と介護を一緒に予測してみませんか?」―第8次医療計画と地域医療の将来―を主題とした。冒頭、小島博己附属病院長の日頃の医療連携への謝意と附属病院の現状を交えた挨拶があった。
最初に同窓でもあり東京都医師会鳥居明理事(昭55)から、「東京都医師会から見た地域医療の課題〜TMA近未来医療会議の議論を踏まえて〜」を題として登壇頂いた。医師会の意義や活動の現況を概説され、特に日本医師会、都道府県医師会、地区医師会の共通した市民と行政を繋ぐ役割の重要性を説かれた。更に国が全国一律で進める医療介護の制度構築の中で、他地域とは大きく環境が異なる都特有の問題点を示された。2040年を想定した近未来会議での4部門、財政と医療経済、かかりつけ医と地域包括ケア、有事での医療体制、保険制度の持続性の各提言について解説された。
「令和6年度 診療報酬改定を踏まえた地域完結型の医療・介護提供体制の構築について」と題した特別講演を医療経済研究機構矢島鉄也元厚生労働省健康局長から頂いた。次期医療計画では、医療法、介護保険法、医療保険法などの多数の法制度を一体化で改正し地域完結型の医療介護の構築を目的としている事が示された。更に、次年度診療報酬改定では地域包括ケアシステムの深化に沿った方針で、医療供給の機能分化の中で医療DXとかかりつけ医の推進を重要視している事が示された。その中、各地域での人口動態を注視することが個々の医療機関の「戦略策定」上、もっとも重要であることを説かれた。自身の生活習慣病の診断加療の経過から現状の地域医療環境と未病予防、自助の重要性についても話された事は印象的であった。主幹である患者支援・医療連携センター松尾七重副センター長から利便性を増すWEB予約での紹介受診方法について説明があり、栗原敏理事長の締めで閉会となった。
(患者支援・医療連携センターセンター長 石川智久記)