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東京慈恵医科大学同窓会

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2024年08月25日 第69回日本宇宙航空環境医学大会
中山大河君が学生優秀発表賞受賞


 令和5年11月10日・11日、岐阜県じゅうろくプラザにて第69回日本宇宙航空環境医学会大会が行われ、本学医学科3年生(現4年生)の中山大河君が口頭発表した演題、「模擬微小重力下のヒト臍帯静脈内皮細胞におけるフォン・ヴィレブランド因子(vWF)に関する機能形態変化の解析」が、学生優秀発表賞に選ばれた。
 近年、宇宙滞在中の宇宙飛行士において血栓症発症が報告されており、微小重力下で血栓形成傾向となるリスクが注目されている。中山君は、医学研究ユニットを履修して本学宇宙航空医学研究室に熱心に通う中で、血管内皮細胞から産生され、一次止血の初期段階で血小板凝集に関わるvWFの血中高値が血栓形成のリスクとなることに注目。そして、3Dクリノスタットを用いた模擬微小重力実験を進め、微小重力下の血管内皮細胞においてvWF産生・分泌調節機構に異常が生じる可能性を示した。本研究は、宇宙での血栓形成に起因する、肺塞栓症などの重篤な疾患発症予防を可能とするための医学的基盤形成の礎石として、人類の宇宙進出に寄与すると同時に、地上における血栓形成性疾患についても重力の側面から新たな視座を与える点で意義深い。前年の第68回大会では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究成果発表を行った、本学原口高伸君(医学科4年生・現5年生)が同賞を受賞しており、本学学生の研究が学会から高く評価されていることは大変喜ばしいことである。
 令和5年には新たなJAXA宇宙飛行士候補者が2名選抜されており、月を目指すアルテミス計画に今後参加することとなる。令和6年2月には、内閣府宇宙戦略基金への3千億円を拠出する補正予算案も通過している。今後、飛躍的な宇宙開発の進展が見込まれる中での今回の受賞は、若き力によって慈恵医大が日本の宇宙医学研究の中心となる日を期待させるものである。中山君の更なる飛躍を期待したい。
(宇宙航空医学研究室 講師・暮地本宙己記)

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