東京慈恵医科大学同窓会
最新情報2024年09月25日 溝渕圭君(準平26)公益社団法人日本網膜色素変性症協会研究助成を受賞
公益社団法人日本網膜色素変性症協会(JRPS)は、遺伝性網膜ジストロフィ(IRD)の代表疾患である網膜色素変性とその類縁疾患の治療法開発のための研究に対し助成を行っている。この度、眼科学講座の溝渕圭君(準平26)が、「ABCA4関連網膜ジストロフィに対する遺伝子治療を見据えた全国コホート解析;疾患進行の関連因子同定の検討」という研究課題で、第28回JRPS研究助成を受賞した。
溝渕君は、平成29年よりIRDに対する遺伝子型とその臨床像の相関研究を行う若手Physician Scient-istの一人である。常染色体潜性遺伝形式をとるABCA4関連IRDは、ABCA4遺伝子の両アレル変異により若年で発症し、黄斑萎縮により進行性の視機能障害を引き起こす疾患である。欧米では最も頻度の高いIRDの一つで、現在、諸外国において臨床治験が行われており世界的に治療すべき最重要疾患として注目されている。本邦におけるABCA4関連IRDの発症頻度は欧米と比較して約1/5程度であるため、多数例の研究は行われていなかった。そこで、将来的な遺伝子治療を見据えてABCA4関連IRDの遺伝的・臨床的特徴を明らかにする多施設共同研究を開始し、疾患進行に関連する遺伝子型と眼所見のバイオマーカーを発見した。研究成果は、眼科学分野のトップジャーナルの一つであるAmeri-can Journal of Ophthalmology誌に2024年3月16日付けで掲載された。
今回の受賞は、確立した治療法が存在しないABCA4関連IRDに対する溝渕君の基礎・臨床研究の継続性が評価された結果と確信している。誠におめでとうございます。
(眼科学講座担当教授 中野 匡記)