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東京慈恵医科大学同窓会

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2024年10月25日 腎臓・高血圧内科 助教 神崎剛君(平18)
日本腎臓学会 第8回令和6年度CSA(Clinical Scientist Award)受賞


 神崎剛君(内科学講座 腎臓・高血圧内科・平18)が、日本腎臓学会第8回令和8年度ClinicalScientist Award (CSA)「Nephron number Variabi-lity in Japanese Subjects:An Aut-opsy-Based Study and Its Implica-tions for CKD」を受賞した。本賞は、腎臓学分野における臨床研究のリーダーシップを期待される研究者を顕彰するものである。
 従来、ヒトのネフロン数は約100万個と考えられていたが、最新の知見では最大で約13倍もの差異が存在することが明らかになっている。このネフロン数の個体差が、高血圧や慢性腎臓病(CKD)の病態に密接に関わっている可能性が示唆されている。神崎君の研究は、腎臓の機能的単位であるネフロンの数に焦点を当てている。
 平成27年にオーストラリアのMonash大学にてJohn Ber-tram教授の指導下で、日本人のネフロン数を計測する先駆的な研究に従事した。この研究では、日本医科大学解析人体病理学の清水章教授のご協力を得て、日本人剖検献体の分析を行った。研究成果は平成29年10月5日、JCI Insight誌に掲載され、国際学会でも高い評価を得た。また、各種メディアでも注目を集めた。
 今回の神崎君の研究では、日本人の平均ネフロン数は64万個であり、高血圧患者では39万個、CKD患者では27万個と有意に低値であることが判明した。現在、この研究成果を基盤として、疾患腎や小児期のネフロン数評価、ネフロン数とポドサイト数の関連など、多岐にわたる共同研究プロジェクトを展開している。今後は、腎の濾過機構に関する基礎および臨床研究をさらに推進し、新規の糸球体過剰濾過マーカーの臨床応用を目指すとともに、CKDの重症化予防戦略の確立に取り組む予定である。
 本研究の遂行にあたっては、日本医科大学解析人体病理学の清水章教授、Monash大学のJohn Bertram教授、横尾隆教授(内科学講座 腎臓・高血圧内科)をはじめとする多くの方々のご指導とご支援があった。彼は、今回の受賞を励みとし、より一層研鑽を積んでいく決意を表明している。当科としても、この栄誉ある受賞を大変喜ばしく思うとともに、今後の研究の更なる発展に期待を寄せている。
(内科学講座 腎臓・高血圧内科 坪井伸夫記)

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